施設報告
岩富トンネルの照明設備 - 広スパン対応型トンネル照明器具の納入事例 -
国内営業事業部 近畿技術設計センター
国内営業事業部 官公需推進室
国内営業事業部 千葉営業所
キーワード
岩富トンネル,広スパン,トンネル照明,片側配列,小型・軽量,均斉度,視認性,コスト縮減
1.はじめに
国土交通省千葉国道事務所管内一般国道127号線の岩富トンネル(千葉県安房郡富浦町)は,房総半島の内房を走る重要な交通手段として多くの人に利用されている(図1)。
岩富トンネルは,昭和24年に完成した古いトンネルで坑内は汚れが目立っている。また,トンネル断面が狭小であるため,安全で円滑に走行できる視環境の改善が課題となっていた(図2)。
本稿では,岩富トンネルの照明設備の改修(平成17年3月竣工)にあたり視環境を改善し,かつ経済的なトンネル照明を目的に広スパン対応型トンネル照明器具が採用されたのでその概要を紹介する。(図3,図4)
2.トンネル照明設備の概要
岩富トンネルの緒元を表1に示す。
基本照明は,取付間隔を伸ばしても十分な輝度均斉度が得られ良好な視認性を確保できる広スパン対応型トンネル照明器具を採用した(器具詳細は広スパン対応トンネル照明器具を参照)。この採用により,器具取付間隔が伸び設置台数が削減でき,施工にかかる設備費,維持費の削減を図った。また,照明器具は,従来型器具(KPL035C)と比べコンパクトで軽量(質量約1/2)であり,省施工であると共にトンネル本体構造自体への負荷軽減も図っている。(図5)
光源には専用に開発された両口金形高圧ナトリウムランプ60W を採用し,電子安定器と組み合わせることで長寿命(18000時間)・省エネを考慮している。
入口照明は,建設電気技術協会「道路・トンネル照明器材仕様書」に準拠した高圧ナトリウムランプ用側壁取付型器具(KPH-B)を採用した。
トンネル延長 | 257.0m | |
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車道幅員 | 5.6m | |
全幅員 | 6.0m | |
設計速度 | 40km/h | |
交通方式 | 対面交通 | |
日交通量 | 10,000台/日 | |
トンネル内反射率と仕上げ | 天井,壁面 | 10%(打放しコンクリート) |
路面 | 10%(アスファルト舗装) | |
野外輝度 | 起点側・終点側 3,000cd/m² |
3.照明計画
3.1 照明設備のコンセプト
岩富トンネル照明設備の改修にあたり,次のコンセプトに基づき計画を行った。
- 視認性の確保(良好な均斉度)
- 設置台数の削減(初期設備費・維持費の削減,トンネル本体自体の負荷軽減)
- 施工性(省施工,車線規制軽減等)
3.2 照明器具の取付位置
既設照明器具の取付位置は,断面が狭小(道路幅員6.0m・高さ5.1m)で建築限界外とするため,中央配列に設置されていた。改修の照明設備においても天井部取付とし,施工性を考慮(片側車線規制にて施工)しトンネル中心(車線中心)から500mmずらした位置に設置した。(図6)
3.3 照明設計
設計条件に基づき,基本照明の計算結果を表2に,基本照明及び入口照明の区間,灯数及び平均路面輝度の関係を図7に示す。
照明器具形式 | KPD060BL |
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ランプ形式 | NHTD60 |
全光束(ℓm) | 5,000 |
ランプ寿命(h) | 18,000 |
照明率 | 0.454 |
保守率 | 0.65 |
取付間隔(m) | 9.5 |
器具数 | 27 |
3.4 トンネル照明の調光
トンネル照明は,野外輝度の変化や深夜時の交通量の減少に応じ,調光することができる。基本照明は,設計輝度1.5cd/m²であるため深夜1/2減光の運用が可能である。1/2減光の方法は間引き点灯による方法と器具単体で光束比50%調光がある。本設計において基本照明の調光方式は,広スパン器具の特徴である取付間隔を伸ばしても高い均斉度が確保できる光学性能より,深夜時の減光方式は間引き方式とした。
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