施設報告
東大阪市花園ラグビー場ライトアップの照明設備 - ライトアップ納入施設例 -
照明事業部 営業技術部 西日本技術設計センター
照明事業部 営業技術部 LCS
照明事業部 国内営業本部 神戸営業所
キーワード
ラグビーワールドカップ2019™,花園中央公園,LEDioc FLOOD FULL-COLOR,DMX512信号方式,安全安心
1.はじめに
東大阪市花園ラグビー場は,大阪府東大阪市の花園中央公園内に位置し,1929年に開場した歴史あるラグビー専用競技場で,全国高校ラグビー大会などが開催される高校ラグビーの「聖地」として親しまれている。
また,ラグビーワールドカップ2019の開催地に選ばれ,2017年より大規模な改修増築工事が始まり,ラグビーの歴史を感じられるラグビーミュージアムや大形映像装置,照明など最新の設備が導入され,さまざまな観戦スタイルに対応したスタジアムに生まれ変わった。ライトアップされた壁面は,高さ約20m,横約190mでスクラムをモチーフにした蜂の巣状の構造体で昼間も存在感を出している(大阪府東大阪市 2019年9月竣工)(図1)。
2.照明計画および照明手法
2.1 照明計画
本施設の照明計画にあたっては,以下のコンセプトにて計画を行っている。
- 建築物の魅力をより引き立てるライトアップ計画。また,ライトアップ終了後の歩行者に対する安全・安心の確保。
- 柱部分を照らし上げて陰影を強調し,立体的に見せることで建築物を際立たせる。
- フルカラーLED投光器を採用することで,カラーチェンジや光が動く高度な演出。
2.2 照明手法
建築工事が先行していたため,壁面の構造体はほぼ完成しており,後施工で照明効果がある照明手法として地上に照明器具を設置し,上部へ照射するライトアップ方式を採用した(図2)。また,壁面と関係のない方向にはできるだけ光が漏れないように,照明器具は照明ボックスに収納した(図3)。
3.照明設備
3.1 照明実験
本施設は照明効果が有効であるかを確認するために,下記の3点について照明実験を行った。
- 構造物が高さ20mあり,壁面上部まで照射可能かを確認。
- 壁面構造体の表面塗装が黒・グレー・白であり,色味が認識できることを確認。
- 地中埋設物の関係で壁面より1.0m以上離した場合の有効距離の確認。
3.1.1 フルカラーLED投光器照射実験(現場実験)
<条件>
フルカラーLED投光器(狭角配光)を使用し,壁面上部まで照射できるか確認する。また,壁面構造体の塗装が黒・グレー・白であることから,色味が認識できるか確認を行う(図4,図5)。
<結果>
壁面上部まで照射できることを確認できた。また,壁面の塗装に影響なく色味の認識もできることを確認できた。
3.1.2 フルカラーLED投光器照射実験(社内実験)
<条件>
フルカラーLED投光器(狭角配光)を使用し,壁面より1.0mから1.5mまで離した場合,柱の下部まで照射できるかを確認する(図6〜図8)。なお,各図の光色は白色で,マス目は0.5mとなる。
<結果>
現場実験で壁面より1.0m位置で照明効果を確認していたが,現場状況で1.0mより離す必要があり実験を行った。結果,1.3mまでであれば柱の下部まで照射できることを確認できた。
3.2 照明設備の概要
照明器具は,フルカラーLED投光器「LEDioc FLOOD FULL-COLOR」(E36201N/FCSAN8)で,コンパクトであると同時に約1677万色もの多彩なカラーを表現できる。また,LEDモジュール寿命は40000時間の長寿命で,器具出力は全点灯時(白色)で4000ℓmの高出力でありながら,消費電力が80Wと大幅な省エネを実現している。
照明器具の配光は,狭角配光を採用することで上部まで照射することができ,スクラムをモチーフにしたV字の柱を鮮やかに浮かび上がらせている。また,器具本体と電源装置は専用のコネクタで簡単に接続でき,省施工となっている(図9)。
本施設は公園内に位置しているため多くの市民が集う場所であり,ライトアップ消灯後でも安全安心とライトアップと違った落ち着いた雰囲気を作り出すため,照明ボックス内にLED防湿形ラインユニット(EUN10128LSAN8)の電球色タイプを別途設置して周囲環境に配慮している(図10)。
本施設の照明設備配置図を図11に示す。
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