施設報告
熊本県民総合運動公園陸上競技場 ナイター照明設備改修工事 - 納入施設例 -
照明事業部 営業技術部 福岡技術課
照明事業部 国内営業本部 福岡営業所 熊本事務所
キーワード
LED照明,LEDioc FLOOD DUELL 1400,ラグビーW杯,Jリーグ,サッカー,陸上競技場,調光制御
1.はじめに
熊本県民総合運動公園は1978年(昭和53年)より供用を開始した施設であり,多くの屋内外のスポーツ施設から構成され,県民に幅広く日常的に利用される施設となっている。今回LED器具への改修を行った陸上競技場は,サッカー,ラグビー,陸上競技兼用の施設となっている。日本陸上競技連盟第1種公認競技場であり,Jリーグチームであるロアッソ熊本のホームグラウンドであることから,Jリーグの試合も開催される施設である。また,県民などへの貸し出しも行っていることから,多くの人が幅広く利用しており,2019年に開催されるラグビーW杯の試合会場にもなっている施設である。
今回,ナイター照明設備について,既設HID照明設備からLED照明設備へのリニューアルが行われた(図1)。
2.照明設計
2.1 照明コンセプト
本施設の照明設計にあたっては,以下のコンセプトに基づき設計を行った。
- 快適なプレー環境
明るさ環境だけでなく,グレアにも考慮した設計とし,高演色(Ra80)の器具を採用している。 - 明るさレベルの向上
ラグビーW杯の基準レベルが高いことから,既存設備よりも照度を高く設定している。通常運用時の余剰分に関しては,調光にて制御を行う。 - 省エネルギー化
1. ,2. 条件を満足しつつ,省エネルギー化を行う。
2.2 照明手法
既設器具設置箇所にLED器具を設置するのではなく,既設器具設置箇所を利用して器具取付架台(図2)を設置し,LED器具を設置している。架台を設置し,既設器具取付間隔よりも器具取付間隔に余裕をもたせ,器具取付角度の自由度を高めることで,隣接する器具による遮光の影響を最小限に抑えた。また,器具を設置する際に,架台に据え付けた状態で設置を行うことで,取付作業時間を短縮させた。
現行品の中で,最も光束が高い投光器LEDioc FLOOD DUELL 1400を使用することで,既存設備よりも明るさを向上させた。水平面だけでなく鉛直面および空間照度も考慮した設計としている。また,メインカメラの映りを向上させる目的で,メインスタンド屋上部にLED器具を新規で設置した(図3)。
また,明るさを上げたことで懸念される漏れ光については,遮光ルーバの設置および器具取付角度を調整することで,既存設備同等の漏れ光とした。遮光ルーバは,水平に近い照射角度で遠方を照射する器具に設置しており,主に上方への漏れ光を防止している。
2.3 設計照度
本施設の特記数値に準拠し,Jリーグ基準レベルの確保およびラグビーW杯基準レベルに近づける照度レベルとした。表1に各競技の基準照度を,水平面照度と鉛直面照度(メインスタンド方向)の分布図をそれぞれ図6,図7に示す。なお,図の上部がメインスタンドとなる。
水平面照度 | 鉛直面照度 | |
---|---|---|
ラグビーエリア内 | 平均2000ℓx以上 | 平均1000ℓx以上 |
陸上エリア内 | 平均1500ℓx以上 | 平均750ℓx以上 |
サッカーエリア内 | 最小1500ℓx以上 | - |
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