施設報告
岩崎電気テクノセンター「HIKARIUM」
営業技術部 LCS
製造本部 電子制御システム部 制御技術課
キーワード
岩崎電気テクノセンター,HIKARIUM,ITACS,DALI,DMX,ITACS CONNECTY,照明制御
1.はじめに
岩崎電気テクノセンター「HIKARIUM(ヒカリウム)」は,研究開発・設計の各技術部門を集約した技術開発の中枢拠点である。施設規模は鉄骨構造地上4階建て,延床面積6,500m²,建築面積1,800m²で,「ここから,未来の光がうまれる。」というコンセプトのもと,新たな光を想像する場所としてHIKARIUM(光:HIKARIをうむ:UM)と名付けられた。
建屋は旧日本家屋の「門」をモチーフに,外観のフレームをゲート型のデザインとして,多くの人,モノ,情報がゲートをくぐり行き交うイメージを表現している(図1,図2)。
外観のデザインに連動して,各階フロアに南北に通じる「軸」を配置し,コラボレーションエリアとして社員のコミュニケーションを促す多目的エリアとしている(図3)。
さらに,アイデアの具現化を加速させる試作エリア,タブレットやモニタを活用した会議を可能にする電子会議システムなど,シナジー効果を生み出すさまざまな工夫を図っている。また,夏場の温度上昇を緩和するため,日射抑制の構造として東西側の開口部は極力小さくし,南北方向を大きくしている。
屋上には太陽光パネルを設置しており,環境に配慮した建築物を評価する制度「埼玉県建築物環境配慮制度」でAランクを取得している。ほかにもBCP(事業継続計画)対策として,災害時に備え自家発電装置を設置しており,万一の停電時も電力を自力で確保し,業務が継続できる環境を整備している。
2.照明設計
2.1 エントランス,受付ホール,執務室
エントランス,受付ホール,執務室(事務エリア,コラボレーションエリア)は,始業前,就業時,昼休み,終業後など1日のスケジュールに合わせて明るさが変化する照明制御を行っている(図4,図5)。
特に,執務室に設けられているコラボレーションエリアでは,天井折り上げのボックスに設置した間接照明が,2700K〜5000Kまでの調色が可能な照明として,日の移ろいに合わせて光色を変化させ,働く人のサーカディアンリズム(24時間周期の生体リズム)の形成を促している(図6)。
時間帯や昼光の変化に応じて照度や色温度を自動制御している制御システムは,手元のタブレットで個別に調整することもでき,多目的な用途に応じて最適な照明環境を創出することで,働きやすさと生産性の向上に寄与している。
2.2 会議室,応接室
会議室,応接室においては,多目的な使用を想定し,それぞれに適した光環境を再現する照明シーンをあらかじめ設定している(図7,図8)。
大会議室では,全般的に明るさを得るベースライトと,メリハリのある光環境を作るダウンライト,展示会などに対応するためにライティングレールを組合せ,会議やプロジェクターを使用するプレゼンテーションなど4つのシーンを設定している。また,可動間仕切りによって2分割または3分割にすることが可能で,使用する部屋の大きさや机の配置に合わせた細かなシーンの再生は,タブレットから行うことができる。
応接室は,入口から入って正面となる壁に間接照明を設置して,明るく柔らかな光環境で来客を出迎える。会議室と同様に用途に応じて4つの照明シーンを再現することが可能である。
2.3 試作・実験エリア
商品,技術開発の基礎となる最新鋭の分析測定機器を集約し,技術力と品質のさらなる向上,開発スピードの加速化を図っている試作・実験エリアは,1階エントランスの奥にある。ここでは,無線調光制御を行っている。必要に応じて点灯エリアを選択し,適切な明るさの照明環境を構築している。
2.4 夜間景観
夜間景観においては,電球色を中心に温かみのある景観を創出している。フルカラーLED投光器「LEDioc FLOOD FULL-COLOR」を使用して,JR行田駅側の外壁を照らすフルカラーライトアップを行い,地域の皆さまに親しまれるような季節感のある演出を心がけて点灯している。
点灯時間は基本的に夕方から夜9時までとし,DMXコントローラに保存した照明演出プログラムにより投光器を制御し,IWASAKIカラーのブルーに加えて季節に合わせた色の変化を表現している(図9〜図12)。
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