施設報告

九州大学 伊都キャンパス 環境整備 - 納入施設例 -

営業技術部 福岡技術課
国内事業本部 国内営業部 福岡営業所 第二営業課

キーワード

九州大学,伊都キャンパス,グラウンド照明,道路照明,LED投光器

1.はじめに

国立大学法人九州大学は,1867年(慶応3年)に福岡藩の藩校(賛生館)として設立した。その後,1911年(明治44年)に京都帝国大学福岡医科大学と新設工学部の2部を有する日本で4番目の帝国大学として発足し,1949年(昭和24年)に旧制九州大学等を包括して設置された国立大学である。

九州大学では2005年(平成17年)から,豊かな自然に恵まれた糸島半島の地にある最大面積270万m²を誇る伊都キャンパスへの一部移転を段階的に進めていて,3学部,11研究院・学府・工学府,4附属施設の移転が完了している。最先端の充実した設備が整備されている広大なキャンパスは,大きく分けてウエストゾーン,センターゾーン,イーストゾーンの3つのゾーンで構成されている。

本稿では,2015年11月から2016年11月にかけて工事を行った九州大学伊都キャンパスの照明設備について紹介する。

図1 九州大学構内センターゾーン正面夜景

2.照明設計

2.1 照明コンセプト

新キャンパス計画のパブリック・デザインガイドラインに基づき,光環境では「防犯性」「安全性」を持つ機能照明に加え,演出照明によって「話題性」「ランドマーク性」のイメージ確立と,自然や植物の生態系を守るため人工光が周辺に漏れない配慮などをコンセプトとしている。

2.2 照明手法

2.2.1 野球場

ウエストゾーンにある野球場は,主に大学課外活動(硬式野球部の練習・試合等)のための施設として整備され,夜間照明設備を完備している。明るさを硬式野球競技区分Ⅲに設定のうえ,省エネに貢献する高出力形LED投光器「LEDioc FLOOD DUELL 830Wタイプ」を設置し,明るく快適なナイター照明環境を創出している。近隣の住宅への漏れ光に留意し,外野へのルーバ設置および角度調整など,十分な光害対策を講じている。

2.2.2 園路

南ゲートからウエストゾーンまでの1.2km間には,自動車レーン・自転車専用レーン・歩行者道路がそれぞれ整備され,安全性の向上が図られている。ウエストゾーンに位置する校舎(工学部・農学部・理学部棟)や課外活動施設へのアクセスが良くなり,所要時間が大幅に短縮された。

道路の両サイドに農学部の実験用圃場があることを考慮し,後方反射板,器具角度調整など,後方への光害対策をしている。千鳥配列で88台設置された「LEDioc AREA ALIVIO」特注器具も,深夜点灯時には50%調光する仕様で九州大学オリジナル色とし,環境に配慮した光で新しい道を安全に照らしている。

2.2.3 構内

理学系地区の総合研究棟南側周辺照明および駐車場照明,渡り廊下照明については,場所に応じて適切な照明器具が採用され,棟南側周辺照明を照らす照明器具には九州大学オリジナル器具の街路灯を設置した。平均演色評価数Ra95の演色性に優れた光で落ち着きのある夜間景観を演出している。駐車場照明にも同様のオリジナルLED駐車場器具を,総合研究棟(理学系地区)内の渡り廊下にはLEDシーリングライト「LEDioc CEILING Ⅱ」を配置し,消費電力の削減と良好な照明環境を両立している。

2.3 設計照度

設計照度はJIS規格JISZ9127:2011硬式野球・競技区分Ⅲ(外野300ℓx,内野500ℓx)に設定した(表1)。キャンパス内の交差点は10ℓxに,歩道部は3ℓxに設定した。

表1 照度基準値
内野 外野
維持平均照度(ℓx) 500 (300~750) 300 (200~500)
均斉度(Min/Ave) 0.5以上 0.3以上
グレア制限値 55以下 55以下

基準値(硬式野球:競技区分Ⅲ)

野球場の照度分布図を図2に,園路の照度分布図を図3に示す。なお,園路の照度分布図は南ゲート付近の一部区間のみ掲載している。

図2 野球場 照度分布図

凡例
照明器具形式 LED投光器(広角タイプ)
E30701W/NSAJ2
LED投光器(超広角タイプ)
E30701SW/NSAJ2
LED投光器(超広角タイプ)
E30701SW/NSAJ2
ランプ形式 LED830Wタイプ LED830Wタイプ LED830Wタイプ
定格光束(ℓm) 95000 90400 90400
漏れ光対策ルーバ - - LE30801
保守率 0.83 0.83 0.83
照明柱 灯高(m) 台数
P-1 24.0 7 1 7
P-2 24.0 8 1 6
P-3 24.0 6 1 8
P-4 24.0 11 2 2
P-5 24.0 13 2 0
P-6 24.0 13 2 0
合計 58 9 23
90
照度及び照度計算範囲
内野 外野
維持平均照度(ℓx) 548 310
最小照度(ℓx) 386 104
均斉度(Min/Ave) 0.70 0.33
グレア制限値 46 51
  • 注 1)曲線上の数値は、維持水平面照度を示す。単位(ℓx)
  • 注 2)計算は平面とし、障害物等の影響は考慮しない。

図3 園路 照度分布図

照明凡例
照明記号
照明器具形式 E6083SA9-0/Z6648 E6083SA9-0/Z6648
ランプ形式 LED45W LED45W
アクセサリ - 遮光板取付(予定)
定格光束(ℓm) 3560 3560
保守率 0.7 0.7
灯高(m) 5.1 5.1
取付角度(度) 10 10
基数(基) 78 10
平均照度及び範囲
維持平均照度(ℓx)
交差点A12.7
交差点B14.7
交差点C10.1
交差点D11.7
交差点E10.5
交差点F13.9
  • 注記)曲線上の数値は、維持照度を示す。(単位:ℓx)
  • 注記)計算は平面とし、障害物等の影響は考慮しない。
  • 注記)紫ラインは1ℓxラインとする。

テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。