施設報告
千葉都市モノレール セントラルアーチ ライトアップ
- LEDカラー投光器の演出照明納入施設例 -
国内事業本部 国内営業部 千葉営業所
営業技術部 LCS
キーワード
千葉都市モノレール,セントラルアーチ,ライトアップ,フルカラーLED,投光器,演出照明
1.はじめに
千葉都市モノレールの大型橋梁であるセントラルアーチは1999年よりライトアップが行われており,既設照明器具の老朽化に伴い,2016年度にフルカラーLED投光器への改修が行われた。2016年8月に開催された親子三代夏祭りのオープニングより,年間スケジュールをプログラミングしたライトアップを開始した(図1)。
2.施設概要
セントラルアーチは,千葉都市モノレール1号線の栄町駅~葭川公園駅間に建造されたサフェージュ式懸垂型モノレールの大型アーチ橋梁である。橋梁の規模は,高さ25m,全長90mである。
3.照明設計
3.1 設計コンセプト
- 千葉市のイメージアップ
イベントや特定日の演出を自動で行えるよう年間スケジュールを組み込み,一年を通じて千葉市の特色を表現することで,千葉市のシンボリックな建造物に生まれ変わらせる。 - 維持管理費の削減(省エネ化)
LED化による省エネの実現。既設設備は,街路灯を兼ねた照明柱上部に,メタルハライドランプ250W×14台とキセノンランプ150W×2台の計16台のカラーフィルタが付属された投光器が設置されていた。
3.2 照明手法
既設の照明柱を利用し,照明柱1基あたり従来の投光器16台からフルカラーLED投光器2台に改修することにより,約89%の電力削減となった(図2)。照明柱はモノレールの下に通る国道14号線の歩道部にアーチを左右から挟む形で設置されており,周囲の建物や通過するモノレールに影響しないようアーチ中央部を中心にライトアップされている(図3)。
投光器は,LEDioc FLOOD BLITZ™ フルカラー(200Wタイプ,中角配光)を4台(2台×2基)使用している。
制御盤は,照明柱の下部に既設投光器の安定器が収納されており,そのスペースに収まる形状で製作し,照明柱内に収蔵した(図4)。
3.3 照度設計
カラーライティングは,照度で設計すると実際見たときに大幅に印象が異なるため,色によって異なる色彩強度を照度値に換算する手法により設計を行った(図5)。本件では,フル点灯(白色光)の場合,アーチ中央部分を最大40ℓxで算出している(図6)。
3.4 運用方法
本設備は,制御盤にコントローラを設置し,年間スケジュールで運用する方法と,外部接点入力による手動の切り替えが行える手法とを併用している。通常時の点灯と通年のイベントは年間スケジュールで自動運転し,年によって変動するイベントにはスイッチで対応している(表1)。
ボタンスイッチ用演出プログラムの点灯 | |||
---|---|---|---|
ボタン | 点灯色 | 点灯カラー | 点灯時間 |
①(祭・前夜祭) | 黄-白を10分間隔で点灯 | 17:00~20:00 | |
ちばブルー | 17:00~22:00 | ||
②(祭・本祭) | 黄-白を10分間隔で点灯 | 17:00~18:40 | |
レインボー(1周4分半) | 18:40~20:00 | ||
赤-黄-白を5分間隔で点灯 | 20:00~20:30 | ||
ちばブルー | 20:30~22:00 | ||
③(クリスマス) | 赤-黄-緑-白を10分間隔で点灯 | 17:00~22:00 | |
④(特別日01) | 黄 | 17:00~22:00 | |
⑤(特別日02) | オレンジ | 17:00~22:00 | |
⑥(特別日03) | レインボー(1周9分) | 17:00~22:00 | |
⑦(白色) | 白 | 17:00~22:00 | |
⑧(消灯) | 消灯(ブラック) | 00:00~24:00 | |
基本プログラムの点灯(年間スケジュールを自動再生) | |||
日付 | 点灯色 | 点灯カラー | 点灯時間 |
月~土曜 | 黄 | 17:00~22:00 | |
日曜 | ちばブルー | 17:00~22:00 | |
1月1日 | 白(元旦) | 00:00~03:00 | |
17:00~22:00 | |||
1月2~3日 | 白(三が日) | 17:00~22:00 | |
2月14日 | ピンク(バレンタインデー) | 17:00~22:00 | |
4月1日 | 青(世界自閉症啓発デー) | 17:00~22:00 | |
6月15日 | ちばブルー(県民の日) | 17:00~22:00 | |
8月15日 | 白(終戦記念日) | 17:00~22:00 | |
10月1日 | ピンク (ピンクリボン・乳がんの予防・啓発) |
17:00~22:00 | |
11月1日 | オレンジ (オレンジリボン・児童虐待防止) |
17:00~22:00 | |
11月14日 | 青(世界糖尿病デー) | 17:00~22:00 | |
11月25日 | 紫 (パープルリボン・DV暴力防止運動) |
17:00~22:00 | |
12月1日 | レインボー(1周9分) (イルミネーション点灯式) |
18:00~20:00 | |
青-白を30分間隔で点灯 (イルミネーション点灯式) |
20:00~23:00 | ||
12月2~2月13日 | 青-白を30分間隔で点灯 (イルミネーション) |
17:00~23:00 | |
12月31日 | オレンジ(大晦日) | 17:00~24:00 |
3.5 点灯状況
通常時において,月~土曜日の点灯パターンを図7に,日曜日の点灯パターンを図8に示す。なお,図7の点灯色(黄色)は,千葉開府890年PRのイメージカラーに近づけた色を,図8の点灯色(青色)は,千葉市の美しい海辺のまちをイメージした色を表現している。
また,イベント時のレインボーカラーでライトアップされたセントラルアーチの写真を図9に示す。
4.おわりに
カラーフィルタ付きメタルハライドランプ投光器で橋脚を黄色単色で照らしていた既設照明器具に対し,多彩な色を自在に表現できるフルカラーLED投光器に改修したことにより,多様な演出が可能となった(図7~図9)。千葉駅前に位置するセントラルアーチを表情豊かにライトアップすることで賑わいを演出し,中心市街地のイメージアップに貢献することを期待する。
最後に,本照明施設の納入にあたり,ご指導ご協力いただいた関係各位に深く御礼申し上げる。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第36号掲載記事に基づいて作成しました。
(2017年5月15日入稿)
テクニカルレポートに掲載されている内容は、原稿執筆時点の情報です。ご覧の時点では内容変更や取扱い中止などが行われている可能性があるため、あらかじめご了承ください。