施設報告
函館アリーナ照明設備 - メインアリーナ・サブアリーナ照明 -
国内営業本部 仙台営業所 技術課
国内営業本部 東日本技術設計センター
国内営業本部 札幌営業所
キーワード
函館アリーナ,高天井器具,LED,セラミックメタルハライドランプ
1.はじめに
函館アリーナは,各種スポーツ競技および各種コンベンションの開催が可能な施設として北海道函館市の湯の川地区に2015年8月1日にオープンした。本施設は大小2つの楕円形状の建物をホール部分で結ぶ形状が特徴的で,メインアリーナ棟は面積2,860m²(バスケットコート3面),固定観客席数2,120席で,最大5,000人収容可能である。また,サブアリーナ棟は面積1,000m²(バスケットコート1面),固定観客席数200席で,最大1,000人収容可能である。
さらにサブアリーナ棟には,武道館,スタジオ,多目的会議室があり,充実した施設となっている。
本稿では,函館アリーナのメインアリーナとサブアリーナの照明設備について紹介する。(図1)
2.施設概要
本施設は,各種スポーツ競技やコンサート,イベント,また大規模コンベンションの開催が可能な多目的施設である。照度においては,一般利用から国際大会クラスのJIS照度基準を満足し,多様な用途に対応できる照度設定となっている。また光源は,セラミックメタルハライドランプ660Wと,瞬時点灯が可能な高出力型180WのLED照明器具を採用し,高効率で省エネルギーの照明設備となっている。
3.設備概要
3.1 照明設備
函館アリーナのメインアリーナ,サブアリーナの照明設備は,表1に示す数量を設置した。
照明器具は各アリーナともメタルハライドランプ用高天井器具を中心に配置しており,補助的にLED高天井照明器具とLED投光器も配置している。
区分 | 仕様 | 設置高さ(m) | 数量(台) |
---|---|---|---|
メイン アリーナ |
メタルハライドランプ用高天井器具 (セード:SAW713+ホルダ:039-106TS +ガード:GSAW71+ランプ※:M660FCELSP2-W/BU) |
15.4 | 143 |
LED高天井照明器具180W(中角配光) LEDioc HIGH-BAY Λ(ラムダ)™ (器具:EHCL18201M/NPJX8+ガード:GEHCL222) |
15.4 | 39 | |
LED投光器210W(中角配光) LEDioc FLOOD SPOLART™ (器具:E30404M/N+ガード:GH3002) |
15.4 | 12 | |
観客席照明 | LED投光器210W(中角配光) LEDioc FLOOD SPOLART™ (器具:E30404M/N+ガード:GH3002) |
15.4 | 20 |
サブ アリーナ |
メタルハライドランプ用高天井器具 (セード:SAW713+ホルダ:039-106TS +ガード:GSAW71+ランプ※:M660FCELSP2-W/BU) |
12.8 | 64 |
LED高天井照明器具180W(中角配光) LEDioc HIGH-BAY Λ(ラムダ)™ (器具:EHCL18201M/NPJX8+ガード:GEHCL222) |
13.2 | 16 |
- 注)※セラミックメタルハライドランプ660W FECセラルクスエースPRO2(拡散形)
3.2 設計照度
設計照度は全点灯時で維持平均照度1,500ℓxを満足している。また,設計照度に応じて数種類の点灯パターンでの照明点灯を考慮し,公式競技からレクリエーションレベルまで幅広い利用目的に対応できるよう照明制御が可能である(図2~図5)。
3.3 照明点灯パターン
照度レベルは競技レベルに応じて表2で示す6パターンの設定が可能である。
使用頻度の多い点灯パターン(750ℓx,500ℓx,300ℓx)レベルにおいては,セラミックメタルハライドランプの寿命を平準化できるよう,点灯させる照明器具を3パターンにローテーション点灯できるよう設定されている。
また,停電時は本施設の非常用発電機から電源供給を受け,瞬時点灯可能なLED高天井照明器具を保安照明(点灯パターン⑥)として点灯させる。そのため,LED高天井照明器具は維持平均照度150ℓxを確保できるよう配置されている。
パターン | 照度レベル(ℓx) | 競技レベル |
---|---|---|
① | 1500 | 公式競技 |
② | 1000 | 〃 |
③ | 750 | 〃 |
④ | 500 | 一般競技 |
⑤ | 300 | レクリエーション |
⑥ | 150 | 保安照明(非常時) |
3.4 保守と安全対策
照明器具は天井キャットウォークの両サイドに設置されており,容易かつ安全に保守点検が可能である。また,照明器具の前面にはガードを取付け,ランプやカバーの破損,落下防止対策を行い,照明器具全体には落下防止ワイヤによる安全対策が施されている(図6~図8)。
4.おわりに
本施設の完成により,各種スポーツ競技やイベントに対応する最新設備を揃え,また収容人数も5,000人と大規模施設が誕生したことで,北海道道南地区で今まで不可能だった大会・イベント開催が可能となり,地域の活性化に繋がるものと期待される。
また,屋内におけるスポーツ競技照明においては,高照度を必要とするため,高効率かつ高品質な視環境,経済性に配慮された施設が重要である。
最後に,本照明設備の納入にあたり,ご指導,ご協力をいただいた関係各位に深く御礼申し上げる。
この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第35号掲載記事に基づいて作成しました。
(2016年10月28日入稿)
納入事例
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