施設報告

所沢フットサルパーク - フットサルコートの照明設備 -

国内営業事業部 営業技術部 中央技術設計センター
国内営業事業部 広域開発室

キーワード

所沢フットサルパーク,グレア,漏れ光,高効率,省エネ,低誘虫

1. はじめに

図1 フットサルコート全景(昼間)

所沢フットサルパークは所沢市北原町に位置し,3面の専用コートと54台収容可能な駐車場を備えた本格的なフットサル場である。(平成15年9月竣工)ブルー・グリーン・ブラウンとカラフルでハイグレードな砂無し人工芝を採用しておりファッション性も豊かで,3面あるコートはそれぞれ独立したレイアウトで,さらにはサポーターエリアも広く確保された施設である。(図1)

2. 照明計画

本施設の照明計画を行うにあたり下記のコンセプトを満足できるよう考慮した。

  1. 照度はJIS基準(JIS Z 9121-1997)のサッカーの一般競技レベルと同等の明るさを確保すること。
  2. 競技を行うにあたり照明がまぶしくないこと。
  3. フットサルパーク周辺への漏れ光を抑えること。
  4. 省エネの効果があること。
  5. 演色性に優れている光源であること。
  6. ランプに寄ってくる虫の飛来を抑制すること。

3. 照明設備の概要

図2 投光器投置状況

照明設備は,フットサル専用投光器(H8120FS)と低誘虫メタルハライドランプ700W(M700B/BH-UVC)を採用している。照明方式は,1面コートごとにそれぞれ設けられているネット柱の四隅の4本(灯高10m)を利用してコーナー配置としている。照明器具は1面あたり8台(2台×4基),全体で24台(8台×3面)を使用し維持平均照度200ℓxを確保している。(図2)

その他,施設の駐車場にはHID250W用丸型投光器(H367DX)とメタルハライドランプ250W(拡散形)(MF250LS)を採用している。フットサルコート照明と同様にネット柱(灯高10m)を利用して4台(1台×4基)を使用し維持平均照度15ℓxを確保している。当該設備に設置した照明設備一覧を表1に示す。

表1 照明設備一覧
区分 照明設備 数量
フットサルコート 器具 フットサル専用投光器(H8120FS) 24台
ランプ 低誘虫メタルハライドランプ700W
(M700B/BH-UVC)
24本
安定器 同上用安定器(M7BCAP2A60) 24台
架台 2灯用弓形架台(溶融亜鉛メッキ) 12基
駐車場 器具 丸型投光器(367DX) 4台
ランプ メタルハライドランプ250W
(MF250LS/U)
4本
安定器 同上用安定器(H2.5CC2A352) 4台
架台 1灯用架台(溶融亜鉛メッキ) 4基

4. 照明設備の特徴

本施設の照明設備の特徴を以下に示す。

  • グレア・漏れ光の抑制
    照明器具は,真下に向けながら前方50°へ光が照射される下方向照射型投光器を採用しているため,従来一般的に使用されている丸型投光器に比べ,プレーヤーへのグレアや周辺への漏れ光が抑制されている。(図3,図4,図5)
  • 低誘虫ランプ
    ランプから出る光の波長のうち虫が好む波長(380nm以下)をカット(図6)した低誘虫メタルハライドランプを採用しているためプレーヤーや観客に飛来してくる虫を約50%軽減(当社比)している。(図7)
  • 高効率・省エネルギー
    設計照度200ℓxの場合,従来は1kW×8灯必要であったが,照明器具の効率の向上により700W×8灯で確保することができ,電気容量を減らすことが可能であるため電気料金を約30%節約できる。
  • 高演色
    本施設では演色性Ra=65のメタルハライドランプを採用しているため,フットサルのスポーツの面白さと同時にプレーヤーのユニホームやコートの色によるカラフルさを忠実な色で見せることが実現されている。(図8)

図3 照明点灯状況(見上げた状況)

図4 照明点灯状況(ゴールよりみた状況)

図6 低誘虫メタルハライドランプの波長1)

図7 誘虫性の比較1)

図8 コート使用状況(夜間)

5. 従来とフットサル専用器具の比較

従来一般的に使用されている丸型投光器はコート中心方向へ投光器を振向ける照明手法であった。フットサル専用投光器は光軸が前方50°に前進しているため,前面ガラスは下に向いていながら,コート全体を照射できる特徴がある。また,ランプを直接見ることが少なく競技者へのグレアを低減することができる。同時に,投光器の振向け鉛直角を0°~20°で設置できるため,周辺への漏れ光も低減できる。(図9,図10)

さらに,従来は上空へ漏れていた光を被照射面に利用でき,照明率が従来と比較して向上している。このため同じ照度レベルを確保するのに従来使用していた1kWからワンランク小さい700Wのランプで必要な照度を満足でき,省エネを図った。(図11)

図9 従来器具と専用器具の器具の見え方の比較(CG)1)

図10 従来器具と専用器具の漏れ光の比較1)

図11 従来器具と専用器具の年間電力料金の比較1)

6. おわりに

所沢フットサルパークの照明は,グレア・漏れ光,省エネ,低誘虫という点を考慮し良好な光環境を創りだすことができた。今後,フットサルコートが増えていく中,フットサルコートのより良い照明として当社のフットサル専用投光器と低誘虫メタルハライドランプ700Wの組合せによる照明が多く採用されることを期待したい。

最後に,所沢フットサルパークの照明設備の完成にあたり,ご指導,ご協力をいただきました関係各位に心よりお礼申し上げる。

参考文献

  1. 提案書「フットサルコート照明のご提案」,岩崎電気

この記事は弊社発行「IWASAKI技報」第10号掲載記事に基づいて作成しました。
(2004年5月10日入稿)


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