ライティング講座(照明講座)
照明計画資料
トンネル照明 - 計算例(基本照明)
(1)設計条件
表2.5に示す設計条件にて計算します。計算に使用するトンネル断面図を図2.18に示します。
交通方式 | 対面交通 |
---|---|
設計速度 | 50(km/h) |
車道幅員 | 7.0(m) |
全車道幅員 | 9.5(m) |
反射率 | 天井、壁面、路面 25(%) |
路面舗装 | コンクリート |
平均照度換算係数 | 13(ℓx/cd/m²) |
灯具取付高さ | 5.0(m) |
配列方式 | 向き合わせ |
保守率 | 0.60 |
灯具取付角度 | 36.0° |
灯具間隔 | 19.0(m) |
光束 | 4100(ℓm) |
(2)性能指標の決定
性能指標は、表2.6とします。
平均路面輝度 | 1.90(cd/m²) |
---|---|
総合均斉度 | 0.4以上 |
車線軸均斉度 | 0.6以上 |
視機能低下グレア | 15(%)以下 |
※断面及び照明器具の位置、振向け角度は、左右対称とする。
図2.18 断面条件
(3)灯具の直射照明率曲線
設計に使用する照明灯具の直射照明率は、図2.19とします。
(4)車道照明率の算出
車道照明率の算出例を以下に示します。
4.1 照明率を求めるための係数(\( A_{41} 〜 A_{44} \))の算出
表2.4より(\( A_{41} 〜 A_{44} \))を求めます。
\( Wo/Ho=1.9 \)、天井反射率0.25、壁面反射率0.25、路面反射率0.25より
\( A_{41}=0.168 \) \( A_{42}=0.121 \) \( A_{43}=0.121 \) \( A_{44}=1.037 \) となります。
4.2 直射照明率(\( U_{10} ~ U_{40} \) 、\( U_{40'} \))の算出
図2.12、図2.13、図2.18、図2.19より直射照明率(\( U_{10} ~ U_{40} \) 、\( U_{40'} \))を求めます。
- 天井面
- \( U_{10}=(90.0^\circ)-(54.0^\circ)=0.606-0.591=0.015 \)
- 壁面(器具側)
- \( U_{20}=(-90.0^\circ)-(-56.2^\circ)=0.394-0.377=0.017 \)
- 壁面(器具と反対側)
- \( U_{30}=(54.0^\circ)-(20.9^\circ)=0.591-0.383=0.208 \)
- 全路面
- \( U_{40}=(20.9^\circ)+(-56.2^\circ)=0.383+0.377=0.760 \)
- 車道幅員
- \( U_{40'}=(16.0^\circ)+(-42.8^\circ)=0.286+0.342=0.628 \)
4.3 車道照明率の算出
式-1、式-2より車道照明率を求めます。
- 全路面幅員の照明率
- \( U_{4}=0.168 \times 0.015+0.121 \times 0.017+0.121 \times 0.208+1.037 \times 0.760=0.817 \)
- 車道幅員の照明率
- \( U_{4'}=0.628+( \frac{7}{9.5})×(0.817-0.760)=0.670 \)
以上より車道照明率は、0.670となります。
(5)壁面照明率の算出
壁面照明率の算出例を以下に示します。
5.1 照明率を求めるための係数(\( A_{21} ~ A_{34} \))の算出
表2.4より(\( A_{21} ~ A_{34} \))を求めます。
\( A_{21}=0.063 \) \( A_{22}=1.016 \) \( A_{23}=0.075 \) \( A_{24}=0.063 \)
\( A_{31}=0.063 \) \( A_{32}=0.075 \) \( A_{33}=1.016 \) \( A_{34}=0.063 \)
5.2 直射照明率(\( U_{10} ~ U_{40} \) 、\( U_{20'} \)、\( U_{30'} \))の算出
図2.12、図2.13、図2.18、図2.19より直射照明率(\( U_{10} ~ U_{40} \) 、\( U_{20'} \)、\( U_{30'} \))を求めます。
- 天井面
- \( U_{10}=(90.0^\circ)-(54.0^\circ)=0.606-0.591=0.015 \)
- 壁面(器具側)
- \( U_{20}=(-90.0^\circ)-(-56.2^\circ)=0.394-0.377=0.017 \)
- 壁面(器具と反対側)
- \( U_{30}=(54.0^\circ)-(20.9^\circ)=0.591-0.383=0.208 \)
- 全路面
- \( U_{40}=(20.9^\circ)+(-56.2^\circ)=0.383+0.377=0.760 \)
- 壁面(器具側計算範囲)
- \( U_{20'}=(-60.7^\circ)-(-56.2^\circ)=0.382-0.377=0.005 \)
- 壁面(器具と反対側計算範囲)
- \( U_{30'}=(26.4^\circ)-(20.9^\circ)=0.473-0.383=0.009 \)
5.3 全壁面の照明率の算出
式-3、式-4より壁面の照明率を求めます。
全壁面の照明率
\( U_{2}=0.063 \times 0.015+1.016 \times 0.017+0.075 \times 0.208+0.063 \times 0.760=0.081 \)
\( U_{3}=0.063 \times 0.015+0.075 \times 0.017+1.016 \times 0.208+0.063 \times 0.760=0.261 \)
5.4 計算範囲の壁面照明率の算出
式-5、式-6より壁面の照明率を求めます。
計算範囲の壁面の照明率
\( U_{2'}=0.005+( \frac{1}{5}) \times (0.081-0.017)=0.017 \)
\( U_{3'}=0.090+( \frac{1}{5}) \times (0.261-0.208)=0.100 \)
5.5 壁面照明率の算出
式-7より壁面の照明率を求めます。
壁面の照明率
\( U= \left( \dfrac{0.017+0.100}{2} \right) =0.058 \)
(6)壁面輝度比の算出
式-8より壁面輝度比を求めます。
壁面輝度比
\( \dfrac{Lw}{Lr}=13 \times \left( \dfrac{0.25}{\pi} \right) \times \left( \dfrac{7.0}{1.0} \right) \times \left( \dfrac{0.058}{0.670} \right) =0.63 \)
以上より上記の条件での壁面輝度比は、0.63となります。
(7)基本照明の平均路面輝度の算出
式-9より平均路面輝度を算出します。
\( Lr= \dfrac{4100 \times 0.670 \times 0.60 \times 2}{19 \times 7.0 \times 13}=1.90 \)
(8)輝度均斉度の計算
逐点法及び式-10、式-11によって総合均斉度及び車線軸均斉度を計算します。
8.1 総合均斉度の計算
表2.7 逐点法による輝度計算の結果
単位(cd/m²)
m | 0 | 1.9 | 3.8 | 5.7 | 7.6 | 9.5 | 11.4 | 13.3 | 15.2 | 17.1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6.65 | 1.89 | 1.8 | 1.86 | 1.95 | 1.91 | 1.84 | 1.82 | 1.82 | 1.68 | 1.67 |
5.95 | 2.1 | 2.14 | 2.21 | 2.3 | 2.28 | 2.21 | 2.22 | 2.15 | 2.02 | 1.99 |
5.25 | 2.16 | 2.4 | 2.43 | 2.43 | 2.5 | 2.44 | 2.42 | 2.26 | 2.23 | 2.23 |
4.55 | 2.19 | 2.55 | 2.54 | 2.48 | 2.53 | 2.5 | 2.42 | 2.29 | 2.29 | 2.39 |
3.85 | 2.06 | 2.53 | 2.45 | 2.41 | 2.53 | 2.52 | 2.42 | 2.16 | 2.22 | 2.38 |
3.15 | 2.06 | 2.54 | 2.46 | 2.42 | 2.55 | 2.52 | 2.42 | 2.18 | 2.22 | 2.38 |
2.45 | 2.2 | 2.57 | 2.56 | 2.52 | 2.56 | 2.52 | 2.45 | 2.31 | 2.31 | 2.4 |
1.75 | 2.18 | 2.42 | 2.46 | 2.46 | 2.52 | 2.46 | 2.45 | 2.27 | 2.24 | 2.23 |
1.05 | 2.1 | 2.14 | 2.21 | 2.29 | 2.27 | 2.21 | 2.21 | 2.14 | 2.02 | 1.99 |
0.35 | 1.89 | 1.79 | 1.84 | 1.93 | 1.88 | 1.81 | 1.8 | 1.81 | 1.67 | 1.67 |
\( Uo= \dfrac{Lmin}{Lr_{2}}= \dfrac{1.67}{2.23}=0.748 \)
8.2 車線軸均斉度の計算
表2.8 逐点法による輝度計算の結果
単位(cd/m²)
m | 0 | 1.9 | 3.8 | 5.7 | 7.6 | 9.5 | 11.4 | 13.3 | 15.2 | 17.1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5.25 | 2.16 | 2.40 | 2.43 | 2.43 | 2.50 | 2.44 | 2.42 | 2.26 | 2.23 | 2.23 |
\( Ul= \dfrac{Lmin(l)}{Lmax(l)}= \dfrac{2.16}{2.50}=0.864 \)
(9)相対閾値増加TI値の計算
逐点法及び式-12によって等価光幕輝度を算出します。
表2.9 逐点法による等価光幕輝度の計算結果
単位(cd/m²)
m | -9.617 | -7.717 | -5.817 | -3.917 | -2.017 | -0.117 | 1.783 | 3.683 | 5.583 | 7.483 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5.25 | 0.340 | 0.013 | 0.015 | 0.018 | 0.022 | 0.031 | 0.047 | 0.074 | 0.125 | 0.214 |
\( TI=65 \cdot \dfrac{Lv}{Lr_{3}^{0.8}}=65 \cdot \dfrac{0.340}{3.16^{0.8}}=8.8 \)
(2020年11月20日入稿)
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