ライティング講座(照明講座)
照明計画資料
障害光の低減 - 投光照明器具
(1)投光器の区分と特長
投光照明は、照明器具の照射方向(取付け角度)が自由に設定でき、取付け場所も道路・街路照明のように限定されないことが多く、その使い方によっては被照射面外への漏れ光が大きく異なるので、適切な光の広がり(配光)を持つものを選定し、適切な位置に設置することが特に重要です。表10.3に投光器の区分と特徴を示します。
投光器の区分 | 特徴 | 主な用途 | 参考図(照明器具・配光形状の例) | ||
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Ⅰ | 配光が光軸を中心とした軸対称のタイプ |
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Ⅱ | 配光が横長の矩形もしくは長円形のタイプ |
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Ⅲ | 配光が上方後方の光を抑制し下方前方へ照射したタイプ |
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(参考文献 (一社)日本照明工業会 ガイド116:障害光低減のための屋外照明機器の使い方ガイド(2002))
(2)障害光の低減策
2.1 投光照明と障害光の関係
障害光を低減するには、投光器の取付け高さ、照射角度(鉛直角)、1台あたりの光出力、配光、被照射面からの距離などを、施設やその周囲の状況に応じて、適切に定めることが重要です。表10.4は、投光照明のパラメータと障害光との関係を示したものです。各パラメータの長所と短所に留意して、施設に最も適していると考えられる方法を選定します。
漏れ光の低減に最も効果があるのは、照射角度を小さくすることです。もし、この角度を大きくせざるを得ない場合でも70度以下に抑えるのが良いでしょう。また、照射角度を小さくするためには、取付け高さを高くしたり、被照射面からの距離を小さくする等が考えられます。このような配慮をすれば、ルーバやフードなどによる漏れ光の制御も容易になります。しかし、照度分布が悪くなったり、空間の照度が不足したりするので、投光器1灯当たりの光出力を抑え、良好な照度分布を得るのに必要な灯数を用います。
パラメータと図 | 特徴 |
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取付け高さを高くすれば
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照射角度(鉛直角)を小さくすれば
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光出力を小さくすると
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より制御された配光を採用すると
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被照射面からの距離を小さくすると
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隣接地域からの距離を大きくすると
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(参考文献 (一社)日本照明工業会 ガイド116:障害光低減のための屋外照明機器の使い方ガイド(2002))
2.2 照明施設別の障害光低減策
投光照明は、フレキシブルな使用が可能なことから様々な施設で使用されますが、照明対象、照明範囲、所要照度などによってその使い方が異なります。表10.5は、これらを考慮して照明施設別に推奨される障害光低減策を示したものです。
特に、照明範囲の広いスポーツ施設・大きな広場・駐車場などでは、照射角度が大きくなりがちになるので、取付け高さを高くすること、配光がより制御された投光器を使用すること、可能ならば隣接地域との距離を大きくすること等が重要になります。また、使用時間帯を考慮に入れた運用(減光・消灯など)も障害光の低減に効果があります。
照明施設 | スポーツ施設 | 駐車場 | 作業場 | ヤード | ||||
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プロ競技 | 公式競技 | 一般競技 | レクリエーション | |||||
障害光の低減対応策 | 取付け高さを高くする | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ |
照射角度を小さくする | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | |||
1台当たりの光出力を小さくする | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
配光がより制御されたものを採用する | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | |
被照射面からの距離を小さくする | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ||
隣接地域との距離を大きくする | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ |
- 備考 ○:推奨される低減策。 ◎:特に推奨される低減策。
(参考文献 (一社)日本照明工業会 ガイド116:障害光低減のための屋外照明機器の使い方ガイド(2002))
2.3 垂直に近い面の投光照明方法
宣伝・広告物、建築物や構造物などの垂直な面への投光照明は、都市空間の広がりや奥行きの認識を容易にし、人々の安全かつ円滑な誘導に貢献しています。しかし、天空や周辺への漏れ光が多くなり、交通機関や住民への障害光となりやすいため、被照射面の大きさ、照明塔から被照射面までの距離、照射方向を考慮に入れて、適切な広がり(配光)を持つ投光器を選定します。また、投光器は下向きに照射することが望まれますが、もし上向きに照射せざるを得ない場合は、できるだけ仰角を小さくすると共に、ルーバやフードなどで漏れ光を厳しく規制することが望まれます(図10.1)。
(2021年8月19日入稿)
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