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照明計画資料

障害光の低減 - 障害光

国際照明委員会(CIE)では、照明光による環境への障害を許容できるレベルに抑制するために、関連する照明の特性値の許容限界値を示しています。概要を表10.1から表10.2に示します。

表10.1 環境区域
区域 環境 光環境
E1 自然 本来暗い 国立公園、保護された場所
E2 地方 低い明るさ 産業的または居住的な地方領域
E3 郊外 中間の明るさ 産業的または居住的な郊外領域
E4 都市 高い明るさ 都市中心と商業領域

(参考文献 CIE No.150-2017:Guide on the Limitation of the Effects of Obtrusive Light from Outdoor lighting installations(2017))

表10.2 障害光の制限に関する照明技術的指標の推奨最大値
照明技術的指標 利用条件 環境区域
E1 E2 E3 E4
1.周囲地所に対する照明の制限(鉛直面照度の最大値)
制限は、近隣住居、潜在的住居、特に窓のような関係する面や部分に適用される。値は、照明器具からの総和である。
鉛直面照度(Ev:ℓx) 減灯時間前 2 5 10 25
減灯時間以降 0 1 2 5
  • ※注:照明器具が公共(道路)照明用である場合、この値は1まで許容される。
2.視野内のまぶしい照明器具の制限(指定された方向における、照明器具の光度の最大値)
制限は、照明器具の輝いた面が居住者に迷惑を与えそうな個々の器具に適用される。観察点は、そのような眺めが継続する位置であり、一時 的・短期的状態は含まない。
照明器具の光度(I:cd) 減灯時間前 2500 7500 10000 25000
減灯時間以降 0 500 1000 2500
  • ※注:照明器具が公共(道路)照明用である場合、この値は500まで許容される。
3.交通機関に対する影響の制限(非道路照明設備による閾値増加量の最大値)
  道路照明
なし
M5 M4/M3 M2/M1
閾値の増加
(TI:%)
15
順応輝度
0.1cd/m²
15
順応輝度
1cd/m²
15
順応輝度
2cd/m²
15
順応輝度
5cd/m²
  • ※注1:区分はCIE 115-1995による。
  • ※注2:制限は、交通機関の利用者が必要な視覚情報の見え方の低下を受けやすい場所に適用する。値は、走行路における関連位置、視線方向に適用する。
4.大気中での散乱光の制限(CIE Publication 126-Table21))による)
上方光束の比2)
(ULR)
設置位置での照明器具水平面から上に照射される光と器具総光束の比。 0 0.05 0.15 0.25
  • ※注1:パラメータULRは、CIE126で使われるULORinstと同一である。
  • ※注2:ULRは器具光束に対する比として定義されている。
5.過剰照明された建物表面及び看板の影響の制限(許容される表面平均輝度の最大値)
建物表面の輝度(Lb) 平均照度×反射率/πより求める。 0
cd/m²
5
cd/m²
10
cd/m²
25
cd/m²
看板の輝度(Ls) 平均照度×反射率/πより求める。または、自発光しているものの輝度 50
cd/m²
400
cd/m²
800
cd/m²
1000
cd/m²
  • ※注:値は減灯前後の両方に適用される。ただし、E1は除く。この値はCIE74-1988に示されている。区間E1及びE2では周期的あるいは点滅する照明を含んだ看板の使用は認めない。いずれの区域でも、住居の窓の近傍に取付けるべきではない。

(参考文献 CIE No.150-2017:Guide on the Limitation of the Effects of Obtrusive Light from Outdoor lighting installations(2017))

(2021年8月19日入稿)

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