ライティング講座(照明講座)

照明計画資料

防災照明 - 非常用照明器具

(1)非常用照明器具とは

非常用照明器具とは、地震、火災その他の災害、事故などにより停電が発生した場合に、人々の建築物からの避難に際して、心理的動揺を抑制し、パニックによる混乱を防止し、秩序ある避難行動を可能にするための照明設備のことであり、火災時等による断線や停電などの非常時には自動的に非常電源に切替わり、室内や通路を明るく照らします。
非常時用照明器具は、建築基準法施行例により、不特定多数の人々が利用する特殊建築物及び一定規模以上の建築物の住居等に設置が義務付けられています。

(2)非常用照明器具関連法規及び規格

  • 建築基準法
  • JIL5501(非常用照明器具技術基準)
  • 電気用品安全法
  • 労働安全衛生法

(3)非常用照明器具

図11.15 非常用照明 JIL適合マーク

(一社)日本照明工業会の自主定評に合格し、図11.15に示すJIL適合マークを貼付しています。

(4)非常用照明器具の種類

非常用照明器具の種類を表11.11に示します。

表11.11 非常用照明器具の種類
電源区分 器具区分 非常用光源による区分
電池内蔵形 LED 専用形
組込形
電池別置形 ハロゲン 専用形

(5)非常用照明器具の設置場所

非常用照明装置に関する法令は、昭和46年1月1日に施行されており、昭和46年1月1日以前に既存する建築物については、適用されません。(法第3条、第2項)しかし、増築、改築、大規模の修理や模様替えをした場合には、増改築の部分だけではなく、既存の部分も含めて設置の対象になります。(法第3条、第3項)表11.12に設置を義務付けられている建物及び義務付けられていない建物を示します。

表11.12 非常用の照明装置の設置基準
対象建築物 対象建築物のうち設置義務のある部分 対象建築物のうち設置義務免除の建築物又は部分
1 特殊建築物
  • (一)劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
  • (二)病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
  • (三)学校等1)、博物館、美術館、図書館
  • (四)百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積10m²以内のものを除く)
  • ①居室2)
  • ②令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室3)(無窓の居室)
  • ③①及び②の居室から、地上へ通ずる避難路となる廊下、階段その他の通路
  • ④①②又は③に類する部分、たとえば、廊下に接するロビー、通り抜け避難に用いられる場所、その他通常、照明設備が必要とされる部分
  • ①イ.病院の病室
    ロ.下宿の宿泊室
    ハ.寄宿舎の寝室
    ニ.これらの類似室4)
  • ②共同住宅、長屋の住戸
  • ③学校等
  • ④採光上有効に直接外気に開放された通路や屋外階段等
  • ⑤平12建告第1411号による居室等5)
  • ⑥その他6)
2 階数が3以上で、延べ面積が500m²を超える建築物 同上
  • 上記の①②③④⑤⑥
  • ⑦1戸建住宅
3 延べ面積が1000m²を超える建築物 同上 同上
4 無窓の居室を有する建築物
  • ①令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室3)(無窓の居室)
  • ②①の居室から、地上へ通ずる避難路となる廊下、階段その他の通路
  • ③①又は②に類する部分、たとえば、廊下に接するロビー、通り抜け避難に用いられる場所、その他通常、照明設備が必要とされる部分
  • 上記の①②③④
  • 注1) 学校等とは、学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場をいう(令第126条の2)。
    学校とは、おおむね学校教育法にいう学校をいい、学校教育法でいう学校とは、小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校、幼稚園、専修学校及び各種学校をいう。他の法令の規則によるその他の学校(例.各省の組織の中の学校等)は含まれない。
    体育館で観覧席を有するもの、又は観覧の用に供するものは、集会場と見なされて除外できない。
    学校で夜間部が併設されているものは、法規制上は不要であるが、避難上安全を確保するために、避難経路である廊下、階段、屋外への出入口には、原則的に必要であろう。
  • 注2) 居室とは、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。
  • 注3) 令第116条の2第1項第一号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とは、採光に有効な部分の面積の合計が、当該居室の床面積の1/20以上の開口部を有しない居室をいう。
  • 注4) これらの類似室には、事務所ビル等の管理人室は、長屋若しくは共同住宅の住戸に類する居室と見なされ含まれるが、当直室の場合は不特定多数の人々が使用する居室に見なされ含まれない。
  • 注5) 平成12年建設省告示第1411号による適用除外の居室等を例示すれば、次のとおりである。
    イ.小部屋を含む建物の例。
    半円で歩行距離を示すのは適当ではないが、具体的な通路の示し方がないので半円で示した。
    実際の歩行距離によって制限を受けるので注意を要する。
    1. 小部屋部分は30m以内であり、除外される。
    2. 大部屋部分は30mをこえる部分があり、この大部屋すべてに設置が必要となる。
    3. 廊下部分は避難経路となるので設置を必要とする。
    4. 避難階の直上階、直下階は30m以内が20m以内となるので注意を要する。

工場の例

(1)機器設置が不明な場合

30mでおおわれない斜線部分があり、この建物はすべて設置を必要とする。

(2)機器配置が明確な場合

この建物はすべて設置を必要とするが、斜線部分の大型機器設置箇所は除外され、通路のみに設置を必要とする。

  • 注6) その他次の部分は、設置義務が免除できる。
    1. ホテル、旅館等において、前室と奥の部屋の間がふすま、障子等随時開放することができるもので仕切られた2部屋は、1部屋と見なしてよいので、避難経路に近い前室に設置すればよい(下図参照)。ただし、ふすま等を開放した状態で法定照度を確保すること。
    2. 地下駐車場の駐車スペースは居室に該当せず、車路は、人が通常出入りする通路ではないので必ずしも法的には必要ない。ただし、避難のために通路として使用されることがあるので設置することが望ましい。

(参考文献 防火設備に関する指針:(一社)日本電設工業協会(2004))

5.1消防法との関係

階段に限り建築基準法で定める、耐熱性、即時点灯性などの規定を満足し、しかも消防法にも適合する照明器具で床面を1ℓx(LED・蛍光灯の場合は2ℓx)以上、30分間非常点灯するものを使用すれば、非常用の器具と誘導灯を兼用できます。ただし、消防法改正(平成11年9月25日消防予第245号)に伴い、「非常用の照明装置」により避難上必要な照度が確保されるとともに、避難の方向の確認(当該階の表示等)ができる場合には階段通路誘導灯を設置しなくてよいこととなりました。

(6)非常用照明の照明設計

6.1 照度(令第126条の5、昭和45年告示第1830号及び通達住指発第44号)

直射照明で床面において水平面照度1ℓx以上(LED・蛍光灯によるものは、高温内では明るさが半減するので2ℓx以上)の照度を30分間確保しなければなりません。ただし、地下街の各構えに接する地下道においては、床面水平面照度10ℓx以上(LED・蛍光灯によるものは20ℓx以上)の照度が必要です。(昭和44年建設省告示第1730号)

(7)照明器具の配置

非常用照明器具の配置は、総合カタログの商品掲載ページに記載している配置間隔表を使用して決めることができます。配置間隔表は、各天井高(器具取付高さ)に対して30分間点灯後の照度が1ℓx(LED・蛍光灯の場合、2ℓx)となる最大器具取付間隔を示していますので、器具配置の場合は、表示されている値以下の間隔で配置してください。

7.1 単灯配置の場合

各天井高(器具取付高さ)に対して、1ℓx(LED・蛍光灯2ℓx)の範囲(単位m)を①A1で蛍光灯や組込形器具のように配光に方向性のある場合は②、③、④のようにランプの軸に直角の方向(A断面方向)をA1及びA'1、平行の方向(B断面方向)をB1及びB'1で表します。

図11.16 非常灯の配置(単灯)

7.2 直線配置の場合

各天井高(器具取付高さ)に対して、幅2mの廊下の壁ぎわでの合成照度が1ℓx(LED・蛍光灯2ℓx)以上となるための最大取付間隔(単位m)をA2、B2で表してあります。蛍光灯のように配光に方向性のある場合で、⑤のようにA断面方向に配置する場合は、A2で表し、⑥のようにB断面方向に配置する場合はB2で表しますので、この数値以下の間隔で照明器具を取付けてください。また廊下の端部は、単体配置の表により照度範囲A1、A'1、B1、B'1を決めてください。

図11.17 非常灯の配置(直線)

7.3 四角配置の場合

各天井高(器具取付高さ)に対して、照明器具の対角線の交点の合成照度が1ℓx(LED・蛍光灯2ℓx)以上となる最大取付間隔(単位m)をA4で表してあります。蛍光灯や組込形器具のように配光に方向性のある場合は、A断面方向の間隔をA4、B断面方向をB4で表しますのでこの数値以下の間隔に取付けてください(⑦)。なお、部屋の隅部及び壁際は、単体配置・直線配置の両方を満足するよう設置してください。また、壁から1m以上離して設置する場合は、⑧のようにA0、B0、A4、B4以下の間隔で取付けてください。

※注 この①~⑧値は、保守率の推奨値や電圧降下による光束換算係数を見込んで計算されています。電源別置形器具の場合は、器具端子電圧90V(光束換算係数0.7)で算出しています。

図11.18 非常灯の配置(四角)

(8)非常用照明器具(電池内蔵形蛍光灯器具)のトラブルのチェックポイント

8.1 常用点灯しない場合

8.2 非常点灯しない場合(非常時の点滅は3線式の場合、点滅スイッチをONの状態で行ってください。)

8.3 充電モニター(緑色)のチェックモニターを点灯しない場合

(9)非常灯の配線方法

9.1 電池内蔵形の場合

電池内蔵形非常灯の配線工事は、一般屋内配線方法によって工事するほか次に従ってください。(電池内蔵形のため耐火規制は受けません。)

  1. 階段通路誘導灯と兼用する場合を除き、一般照明器具を接続してもかまいません。(非常用の照明装置に関する指針:昭和46年11月)
  2. 一般電源回路には、一般の人が容易に電源を開閉できるスイッチを設けないでください。
  3. 階段通路誘導灯と併用する非常用照明器具で平常時点滅を行う場合、所轄消防署の了解を得てください。

図11.19 非常灯の配線方法

  • 絶対にしてはいけない結線
    3線配線方式の場合、次のような結線は、機器を損傷するおそれがありますから、このような結線は行わないでください。

図11.20 非常灯の行ってはいけない配線方法

(10)非常用照明器具の使用上の注意

10.1 使用上の注意

  • 器具は、常温(20℃±15)の雰囲気内で使用してください。電池の寿命は、温度に多分に影響されやすいため、高い温度の雰囲気内で使用すると極端に寿命を縮めます。したがって、ダクト・ボイラーなどの熱源周辺や直射日光のあたる場所での使用はさけてください。
  • 器具は必要性能を確保するために慎重に調整されているため、取付けの際、衝撃をあたえたり、内部の構造、部品の位置などを変更することのないよう注意してください。
  • 電池内蔵形器具設置の際、通電前に内蔵電池の接続器(コネクタ)を接続しないでください。通電前に接続しますと、電池が放電してしまい、再充電するのに時間がかかります。
  • 電池内蔵形器具の点灯試験を行なう場合、内蔵電池が自己放電していることがあるため、あらかじめ非常灯で48時間以上、誘導灯で24時間以上充電してから行なってください。
  • 配線工事終了後、試験通電を行なう前にもう1度、誤配線がないか、また電源電圧はどうかチェックしてください。
  • 器具の銘板に、非常時のみ点灯と表示された光源は、平常時に連続点灯しないでください。

10.2 保守上の注意点

共通事項
  • ランプが黒化した場合は、光束が減少し、床面の必要な明るさが確保できない場合がありますので、ランプを交換してください。
  • 光源を交換する場合は、指定されたランプ(照明設計時に定めたもの、交換時に器具についていたものと同一のもの)を使用してください。
  • 保守のための部品交換は、指定以外のものを使用しないでください。
  • 一度、高温雰囲気中(140℃)で使用されたものは、再使用しないでください。この場合は器具全体を取りかえてください。
  • リレー接点は、ほこり等により接触不良になることがありますので、定期点検で非常灯切替試験を、必ず実施して接触不良のないことを確認してください。
  • 点灯装置の改造、部品の追加はしないでください。
  • 点灯装置の動作不良が生じた場合は、新しい器具と交換してください。

10.3 〈電池内蔵形器具〉注意事項

  • 常時充電状態になるように給電してください。
  • 点灯持続時間がもし、非常灯で30分以下、誘導灯で20分以下となった場合には、内蔵電池を交換してください。電池交換の際はカタログに記載されているの交換電池一覧表を参照して、器具に適した電池をご使用ください。
  • 電池の交換は、指定以外のものを使用したり、あらかじめ組合されたものを分解して再組合せをしたりしないでください。
  • 電池の交換の際は、接続端子部(コネクタ)からはずしてください。接続端子部(コネクタ)以外の口出線部分を切断したりすると、逆接続、切断時の短絡などにより電池を損傷するおそれがあります。
  • ヒューズ交換には、指定されたものを使用してください。
  • 長期間器具を使用しないときは、消灯するまで放電させた後に接続器を外しておいてください。
  • 電池を有効に動作させるため、定期的(6ヵ月に1回が望ましい)に十分な放電を行なってください。

10.4 点検上の注意点

点検は、点検事項及びその内容により、つぎのような定期的点検を行なうように心掛けてください。

  • 破損、変形などについては、3ヵ月に1回以上。
  • 蛍光ランプなどの汚れ、反射板などの汚れについては、6ヵ月に1回以上。
  • 点灯持続時間、切替動作、明るさなどの機能的事項に関する点検は6ヵ月に1回以上。

なお、電池内蔵形器具にあっては、電池を非常灯で48時間以上、誘導灯で24時間以上充電したのち行なってください。

(11)耐熱配線について

11.1 耐熱配線の種別

  1. 耐熱A種配線(FA)
    JIS A 1304「建築構造部分の耐火試験方法」に規定する加熱温度(昭和44年建設省告示第2999号の規定に同じ)に従った加熱曲線(火災温度曲線ともいう)の約1/8の曲線に従って30分(この時の温度は110℃)加熱を行い、この間異常なく通電できる性能(「110℃の耐熱性能」という)を有する配線。
  2. 耐熱B種配線(FB)
    加熱曲線の1/3の曲線に従って30分(この時の温度は280℃)加熱を行い、この間異常なく通電できる性能(「280℃の耐熱性能」という)を有する配線。
  3. 耐熱C種配線(FC)
    加熱曲線に従って30分(この時の温度は840℃)加熱を行い、この間異常なく通電できる性能(「840℃の耐熱性能」という)を有する配線。

図11.21 耐熱配線の加熱曲線

(参考文献 JIS A 1304:建築構造部分の耐火試験方法(1994))

11.2 耐熱配線の選定

耐熱配線は施設場所の耐熱性と配線の耐熱性能とを考慮して決めなければなりません。防災設備及び施設場所に応じた耐熱配線の選定を表11.13に示します。

表11.13 配線の選定例
設備名称 天井下地、天井仕上材などが不燃材料以外で造られた天井裏及び露出場所 天井下地、天井仕上材などが不燃材料で造られた天井裏 不燃材料で区画された機械室等 耐火区画室
適用場所 回路種別
誘導灯 電源 FC FC FA -
非常用の照明装置 電源 幹線 FC FC - FA
分岐 FC FA※1
操作※2 FB FA
非常用の進入口 電源 FC FC
  • ※1:表中のFAのものは、FB、FCを使用してもよい。FBのものはFCを使用してもよい。
  • ※2:操作とは、表示、警報回路を含む。廊下及び階段はFBが望ましい。

11.3 耐熱配線の種類

耐熱配線は、使用する電線の種頬、工事種別、耐熱処理、電線の保護及び支持材料の組合せによって表11.14のようになります。

表11.14 耐熱配線の種類
耐熱処理 熱処理 耐火構造の主要構造部に20mm以上埋設された管路 耐熱保護材を用いた工法
耐火被覆板※1または耐火被覆材でおおわれたもの、ラス金網を巻きモルタル20mm以上塗布したもの けい酸力ルシウム保温筒(25mm以上)に石綿クロスを巻いたもの ロックウール保温筒(25mm以上)を巻いたもの ロックウールフェルト又はロックウール保温板(40mm以上)処理
工事種別 電線の種類/電線の保護及び支持材 ケーブルラック、サドル止め、金属管、二種金属製可とう電線管ほか 金属管、合成樹脂菅、二種金属製可とう電線管 金属管、金属ダク卜 金属管 金属管 ケーブルピット(耐火構造の床に設けるもの)
ケーブル工事 耐火電線(耐火ケーブル) FC※4 FC - - - FC※2
Mlケーブル FC - - - -
耐熱電線 FB FC FC FC FC FC
架橋ポリエチレンケーブル FB※6
金属管工事
可とう電線管工事
金属ダクト工事
合成樹脂管工事
架橋ポリエチレン絶縁電線
けい素ゴム絶縁電線
ふっ素樹脂絶縁電線
ハイパロン絶縁電線
FB※5 FC FC FC FC -
二種ビニル絶縁電線 FA※5 FC FC FB FB -
バスダクト工事 耐火性を有するバスダクト FC × - - - -
バスダクト FB × FC※3 - - -
  • ※備考:× 施工不能。- 使用しない。
  • ※注1:耐火被覆板とは、石綿けい酸カルシウム板等をいい、耐火被覆材とは吹付けロックウール等をいいます。
  • ※注2:ロックウールフェルトによる耐熱処理は不要である。
  • ※注3:耐火被覆板で覆ったもの。
  • ※注4:金属管及び金属ダクトに収める耐火電線は、電線管用耐火電線を使用する。
  • ※注5:金属管又は金属ダクト工事に限る。ただし、電動機等の機器に接続する短少な部分は、表中の電線を用い二種可とう電線管工事とすることができる。
  • ※注6:消防用設備の配線に用いる場合で、耐火性能を有する電気配線シャフトに他の配線と15cm以上隔離して施設する場合以外は、金属管、二種可とう電線管で保護したものに限る。

11.4 電線の種類

耐熱配線に使用できる電線は、二種ビニル絶縁電線と同等以上の耐熱性能を有する電線とされています。主に使用される電線の規格等を表11.15に示します。

表11.15 耐熱配線の種類
電線の種類 記号 定格電圧(V) 最高使用温度(℃) 規格
絶縁電線 架橋ポリエチレン絶縁電線 IC 600 90 JCS 360
二種ビニル絶縁電線 HIV 600 75 JIS C 3317
ハイパロン絶縁電線 IH 600、3300 95
ふっ素樹脂絶縁電線
600 200
けい素ゴム絶縁(ガラス編組)電線 IK(KGB) 600 180 JIS C 3323
ケーブル 架橋ポリエチレンケーブル CE、CV 600、3300、6600 90 JIS C 3605
JIS C 3606
M-ケーブル MI 300、600
昭和40年通商産業省告示第271号第5条
耐熱電線※1 HP 60

耐火電線※1 露出用 FP 600、3300、6600 75、90  
電線管用 FP-C
バスダクト 耐火性能を有するバスダクト※2
600 60、75、80、90、95 JIS C 8364
バスダクト
600 60、75、80、90、95
  • ※1:(一社)日本電線工業会(耐火・耐熱認定業務委員会)の認定マーク(JCMA)のあるもの。
  • ※2:(一社)日本電線工業協会では耐火性を有するバスダクトの審査承認業務を行っている。

(2022年5月18日入稿)

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