アイちゃんのあかりを訪ねて

日本初の鉄道連絡船ミュージアム「八甲田丸」を訪ねて - 青森市編 -


八甲田丸 外観

青森駅から徒歩で5分ほどの旧青森駅桟橋に固定係留されているレモンイエローの船体が、青函航路の青森発函館行最終便となった青函連絡船八甲田丸をそのまま利用した日本初の鉄道連絡船ミュージアムなの。青森から函館間113kmを3時間50分で結んでいた国鉄連絡船・青函連絡船は、明治41年(1908)3月7日午前10時に青森港を出港した比羅夫丸から始まり、1億6000万人の乗客と2億5000万トンの貨物を輸送、航行距離はなんと地球2019周分の8000万km!


車両搬入口

昭和63(1988)年3月13日に青函トンネルを利用する津軽海峡線の開業とともに、その使命を鉄道に譲り80年間に渡る長い歴史に幕を下ろしたの!歴代の青函連絡船56隻のなかで23年7ヶ月と現役の期間がもっとも長かったのが昭和39年(1964)8月12日に就航した「八甲田丸」なんだよ。

青函連絡船メモリアルシップ 八甲田丸

メモリアルシップ「八甲田丸」の入口は、当時の一般乗船客の入口をそのまま利用していて、入場するとそこは多目的ホールとレストランがある2階フロア。チケットカウンターでチケットを購入して3階フロアから見学をスタート!「津軽海峡文化コーナー」は、津軽海峡を挟んだ青森と北海道や樺太との交流の品々と、連絡船が就航していた当時使用されていた市民の生活の道具と写真により構成されているの。展示室を歩いていると大正時代の青函連絡船内にタイムトリップしたような不思議な感じがしたよ。「マリンワンダーランド」では上映時間10分間の飛び出す立体映像で臨場感満点の海中散歩が楽しめるよ。


洞爺丸 模型


比羅夫丸 模型

3階での目玉は何といっても80年間に渡る青函連絡船の歴史が一目瞭然の「青函鉄道連絡船記念館」!就航当時に使用していた備品や貴重な資料、初代の「比羅夫丸」・青函連絡船初の貨車輸送船「翔鳳丸」・明治天皇御乗船「明治丸」・終戦直前の昭和20年(1945)7月にグラマン艦上戦闘機300機による2日間の攻撃を受けて11隻の連絡船とともに沈没した「第一青函丸」・昭和29年(1954)9月26日の台風15号(洞爺丸台風)により、函館港内に停泊していた4隻の連絡船とともに、1430人にのぼる犠牲者を出し就航後わずか7年余りで沈没した悲劇の連絡船「洞爺丸」などの模型や、歴代の連絡船の写真パネル。イギリスのベイヤー・ビーコック社より輸入した国鉄5500型旅客用機関車をはじめとする東北・奥羽本線の機関車の模型や写真パネル。


グリーン船室

また「グリーン船室」、「寝台室」、「サロン会議室」、「事務長室」、「船長室」なども就航当時のまま残されているの。アイは、青函連絡船に乗船したことはないし、運航していた姿を観たこともありません。でも、その歴史的背景、担ったもの、人々の想いと願い・・・数多くの展示された品を観ながらなんとなく郷愁にかられました。


検車灯


舷灯(左:赤灯、右:緑灯)


国鉄5500型機関車 模型


無線通信室


操舵室

4階は八甲田丸の心臓部である操舵室と運航に関する司令塔である無線通信室があるの。一般の乗船客はもちろんのこと、船員でも航海の指揮を執る船長や限られた人しか入室できなかった神聖な場所。


煙突展望台

トランシーバー格納所 & 神棚

運航当時の機器がそのままに保存されているから舵を取りながらアイはすっかりキャプテンの気分!トランシーバー格納所の右側に祭られた八甲田神社の神棚と、無線通信室に何気なくおかれたダルマが日本の船舶であるということを主張していました。展望プロムナードに出ると、気持ちのよいコバルトブルーの空と青い海が眼前に広がるよ。中央部にある煙突展望台の煙突に赤く描かれたJNR(日本国有鉄道=Japan National Railways)のマークが妙に懐かしく感じられます。

メモリアルシップになってから煙突を煙突展望台として作りかえたそうですが、八甲田丸では最も高い位置にあるから見晴らしがよく、視界360度のパノラマは特におすすめ。アイは潮風に吹かれながら青森港を一望しました。


探照灯


レーダー


デッキより青森港を望む


キハ82 101

ブリッジからエレベーターに乗り1階の車両甲板へ移動。青函連絡船は客載貨車輸送船という特殊な船舶だから、世界的にも珍しい鉄道車両を輸送するための広大なスペースが必要だったの! 地方への郵便輸送に活躍した走る郵便局こと郵便車「スユニ50」、北海道の特急列車の主力だった「キハ82 101」、貨車の出し入れに活躍したディーゼル機関車「DD16」と北海道で活躍していた特急用のディーゼルカー「キハ82」、機関車と出し入れする車両の間に連結された出し入れ専用の貨車で、控車の名称を持つ「ヒ600」など全部で9両の現役当時の本物の車両が格納展示されているの。きっと、鉄道ファンだったら、車両を1日眺めていても飽きないだろうなぁと思います。(笑)


スユニ50


DD16 & キハ82

車両甲板のさらに下の地下1階にあるのがエンジンルームで巨大なエンジンと発電機を間近に見ることができるよ。鉄道車両を運ぶから、1600馬力のディーゼルエンジン8基を横に並べた総出力12800馬力という大きなエネルギーを必要としたのだろうね。八甲田丸のレモンイエローの船体はあちらこちらに汚れやさびが目立っていたけど、日本の大動脈を長らく担った青函連絡船の歴史と海峡文化を後世に語り継ぐための貴重な有形文化遺産としていつまでも残して欲しいと思いながらアイは下船しました。


ヒ600


総括制御室


エンジンルーム

施設概要

所在地
青森県青森市柳川一丁目112番15地先
電話
(017)735-8150
URL
http://aomori-hakkoudamaru.com/
開館時間
午前9時 ~ 午後7時(4月 ~ 10月)/午前9時 ~ 午後5時(11月 ~ 3月)
休館日
11月 ~ 3月の月曜日(祝休日の場合は翌日)・12月31日、1月1日、3月第2週の月曜日から金曜日
有料コーナー見学料金
大人500円