アイちゃんのあかりを訪ねて
杜の都 仙台から始まった水力発電 - 仙台市編 -
三居沢発電所
余水管と水圧鉄管
さとう宗幸さんが一世を風靡した美しい歌「青葉城恋歌♪」でお馴染みの仙台市内を流れる広瀬川の豊かな水を利用して、日本最初の水力発電の発祥の地となった三居沢。三居沢発電所は、明治21年(1888)7月1日、宮城県荒巻村三居沢にあった宮城紡績会社が、三居沢紡績所に発電機を取り付け、烏崎山上にアーク灯1基、工場内白熱灯50灯の試験点灯に成功。東北地方で初めて電気の明かりを灯したのっ!
その後、仙台市電気部、東北配電株式会社などを経て、昭和26年(1951)に東北電力株式会社に継承され、今なお現役で最大出力1000kWで運転を続けていて、仙台市内に生活には欠かすことの出来ない“電気”を供給しているんだよ!
三居沢電気百年館 外観
また三居沢は、電気化学の発祥の地でもあり、明治35年(1902)宮城紡績電灯株式会社の技師長藤山常一氏が電気炉を利用してカーバイトを製造したのが今日の日本の電気化学工業の始まりだったそうです。そして、東北の電気誕生100周年を記念して、昭和63年(1988)に建てられたのが、三居沢発電所の右隣にある三居沢電気百年館なの。
三居沢電気百年館
東北のあかりの歴史を知ろう!
カーバイドを使用した携帯用ランプ
5kW直流発電機
三居沢電気百年館の1階は、「電気百年ギャラリー」だよ。明治21年(1888)のアーク灯の点灯から現在に至るまでの三居沢発電所百年の歩みの紹介や、昔懐かしい各種家庭電気器具の展示を中心とする電気と暮らしの歴史、東北で初めて電気をつくった発電機などが展示されていたよ。
この発電機は、宮城紡績会社・三居沢紡績所内に初めて設置されたものと同型で、明治19年(1886)製造の三吉電機工場製5kW直流発電機!三居沢発電所の歴史によると、仙台電灯株式会社が開業した明治27年(1894)の仙台市における電灯数は365灯、明治末期の明治44年(1911)には約70倍の25,299灯!急速に電気が普及していったことがわかるね。昭和8年に制作された宮城県電気局の照明改善サービスのポスターの標語「一日朝日一本の節約で十六燭の明りを二倍に出来る!」「一酌へらして一燭ふやせ」には、当時の世相が反映されていておもしろいなぁ~と思ったよ。
また、入館してすぐ左手にある「三居沢発電所のご紹介」コーナーでは、発電所設備概要のパネルとポンプ、カプラン、フランシス、ベルトンなどの各種水車用ランナを見ながら、ガラス越しには実際に稼働している水車発電機室の内部を見学できるよ。現在の三居沢発電所は明治43年(1910)に運転を開始し、昭和53年(1978)に仙台技術センターからの遠隔監視・制御により無人化されたんだって。見学者のために発電所の壁をガラス張りにしているなんて、とても親切だね!
三居沢発電所 内部
発電所設備概要と水車用ランナ
電気と暮らしの歴史
宮城県電気局のポスター
各種電球と家庭電気器具
三居沢の先駆者たちのコーナー
水と森の図鑑
2階は木のぬくもりたっぷりの「水と森のアトリエ」。三居沢発電所を支えてきた広瀬川の水と、その源である青葉山の森について遊びながら体験できるスペースだよ。クイズ形式で発電所の仕組みや電気について学べて、映像を見ながら理解が深められるから小さい子でも楽しく過ごせると思うよ。明治21年(1888)、初めて電気のあかりが灯ったとき、烏崎山上のアーク灯を見た町の人々が狐火と勘違いし、巡査が駆けつけた狐火騒動など東北電気ものがたりの絵も楽しめるよ。
「水と森のテラス」からは、三居沢発電所と、その背景に広がる豊かな自然を一望できたよ。明治33年(1900)当時に水を流していた、ずい道(トンネル)の出口や、山の上から一気に水を落とす長さ45mの水圧鉄管を眺めていると、風雪に耐えてきた長い歳月の重みを実感したよ。ちなみに発電所で作られる電力量は、300世帯程度をカバーしているそうだよ。水力発電といっても、明治の開業当初とは違って莫大なエネルギーの安定供給を必要とする現代社会では、なかなか大変な面もあるんだろうなぁとアイは感じました。
水と森の物語検索マップ
水力発電のしくみ
ずい道出口
東北電気ものがたり
狐火騒動
東北のアークの夜明け
施設概要
- 所在地
- 宮城県仙台市青葉区荒巻字三居沢16 (三居沢発電所)
- 電話
- 022-261-5935
- URL
- https://www.tohoku-epco.co.jp/pr/miyagi/sankyozawa.html
- 開館時間
- 午前10時 ~ 午後4時 ※要予約
- 休館日
- 毎週月曜日(祝日の場合翌日、連休の場合は翌平日)、年末年始
取材協力:東北電力株式会社 宮城支店 & 三居沢電気百年館