アイちゃんのあかりを訪ねて

電源開発の歴史を訪ねて - 黒部市編 -

標高3,000m級の峰々が連なる北アルプス立山連峰と後立山連峰の間を流れ日本海までたどりつく黒部川は、険しい山岳地帯を抜ける全長約86kmの急流。雪解け水などを集め豊富な水量を誇っているよ。流域にはたくさんのダムと水力発電所があり、日本一の電源地帯になっています。黒部峡谷の大自然を望む美しい湯の街、宇奈月町は、激流と断がい絶壁の渓谷を走り抜けるトロッコ電車で知られる黒部峡谷鉄道の旅の出発点。アイは、人が足を踏み入れたことがない地と言われた黒部峡谷の電源開発の歴史を探りに、宇奈月を訪ねたよ!

関西電力株式会社 黒部川電気記念館

巨大な黒部ダム


黒部川電気記念館


黒部専用鉄道電気機関車(EB5号型)

黒部川峡谷鉄道宇奈月駅の斜め前にある、アルプスの山小屋風のかわいい建物が黒部川電気記念館。厳しくも美しい黒部峡谷の自然と、それに挑んだ人間のドラマを紹介するために、昭和62年(1987)旧黒部川電力所跡地に建設されました。エントランス前左手には・・・機関車!?これは、黒部峡谷鉄道の前進であった電源開発のための黒部専用鉄道の建設のころにアメリカのジェフリー社で製造された工事用小型電気機関車。半世紀にわたって人員や資材の輸送に活躍、天候の悪いときでも人が機関車の上に乗って、集電ポールを操作していたんだって!


黒部ダムの大型模型 2

黒部ダムの大型模型 1

館内に入って最初に目を奪われるのが、縮尺60分の1の黒部ダムの大型模型!水を支える力学的構造を最高度に極めたドームアーチ型の黒部ダム。映画「ホワイトアウト」でもおなじみだよ。映画のモデルは奥只見ダムだけど、実際のロケ地は黒部ダムなんだって。

ダムの模型の横には、黒部ダムのライブ映像を映し出す大型ワイドモニター「クロヨンNowナウ」。黒部ダム上に設置されているカメラからの映像だから、実際の映像がリアルタイムでわかるんだよ。一番楽しいのは、カメラのアングルを自由に動かせ遊べる事!立山連峰の峰々の姿や、ダムを行き交う観光客の動作までわかってその場にいるような気分を味わえるよ!


クロヨンNowナウ


ステージ中継箇所

ダムの模型の真下にあるのが、源流から日本海までの黒部川流域を縮尺7500分の1にした大山岳パノラマ模型。黒部ダムから黒部川に沿って10kmほど下流にある地下200mの黒四発電所と欅平とを結ぶトンネル内の中継箇所は、2002年の大晦日のNHK紅白歌合戦で中島みゆきさんが「地上の星」を熱唱した場所なんだって!厳しい寒さの中の撮影はさぞかし大変だったんだろうなぁ~。


日電歩道 2


日電歩道 1

人跡未踏の黒部峡谷へ調査隊が第一歩を踏み入れたのが大正6年(1917)。以来、黒部川水力電源開発の歴史は、厳しい黒部の大自然と開発に携わった人々の苦悩の連続・・。館内にある、黒四発電所建設を決断し自ら陣頭指揮にあたった関西電力初代社長、太田垣士郎氏のレリーフにある言葉「経営者が十割の自信を持って取りかかる事業。そんなものは仕事のうちには入らない。七割成功の見通しがあったら勇断をもって実行する。それでなければ本当の事業はやれるものじゃない・・・。」穏やかな落ち着いた心で難しい事業に挑んだ先駆者の言葉に思わず頭が下がりました。

その他に、館内右奥には日電歩道の岸壁の模型がありました。日電歩道は、日本電力が黒部開発のために作った工事用道路なんだって。急で険しい黒部峡谷をはうようにして作られていて、見ているだけでとても怖そうだったなぁ。高さ数百mの絶壁の岩を削り、岸壁に打ち込んだ鉄棒に丸太を並べて針金で結んだ桟道など幅約50cm、全長約16.6kmになるんだよ。測量隊はここを命がけで進んだんだろうなぁ。アイも山登りは得意だけど、日電歩道を登るにはまだまだ修行が必要・・・。

黒部ライブラリーでは、2分から7分程度、7種類のビデオを見ることができるよ。1フロアの小さな資料館だけど、隅から隅までいろいろ見ていると、改めて70年に及ぶ黒部川電源開発に、アイのエネルギーの源である電気を得るために心血を注いだ先人たちの偉業を肌で感じたよ。


黒部ライブラリー


館内


電力線と懸垂碍子

施設概要

所在地
黒部市黒部峡谷口11
ウェブサイト
https://www.kepco.co.jp/corporate/profile/community/pr/kurobe/
開館時間
午前7時30分 〜 午後6時(夏期:4月18日から11月30日)
午前9時 〜 午後4時(冬期:12月1日から4月17日)
休館日
冬期間の毎週火曜日
入館料
無料

取材協力:関西電力(株)北陸支社総務広報グループ & 黒部川電気記念館