ドライバーからの服装の見え方をシミュレーション、見えやすさレベルを診断
薄暮時間帯・夜間の交通事故削減に向けて新ソフトウェア開発をサポート

2022年9月14日

岩崎電気株式会社は、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation:以下、TMF)と全国共済農業協同組合連合会(以下、JA共済連)が、薄暮時間帯※1・夜間の自動車対歩行者事故削減を目的として、自身の服装がドライバーからどのように見えるかをシミュレーション、服装の見えやすさを診断できるソフトウェア「見えチェック」を開発するにあたり、当社が持つ「光環境評価システム QUAPIX(クオピクス)」の技術でサポートいたしました。

薄暮時間帯※1・夜間の自動車対歩行者の交通事故を防ぐには、ドライバーが歩行者に対して細心の注意を払うことに加え、歩行者が自身の存在をドライバーに発見してもらうことが重要です。
本ソフトウェアは、自身の姿がどのようにドライバーから見えるのかが簡単にわかり、少しでも明るい服装を心がけ、また、反射材を着用するなどの行動につなげるきっかけとなることを目指しています。

※1 薄暮時間帯とは、日没時刻の前後1時間を示します。(日没時刻は月日や都道府県により異なります)

交通死亡事故が発生しやすい薄暮時間帯・夜間に着目

交通死亡事故は、一日の中で17時台~19時台において最も多く発生(グラフ1)しており、薄暮時間帯の「自動車対歩行者」事故の時間当たりの死亡事故件数は、昼間と比べて約3.6倍発生(グラフ2)しています。

グラフ1時間帯別の死亡事故件数(平成29年~令和3年)

グラフ2当事者別の時間当たり死亡事故件数(平成29年~令和3年)

※警察庁WEBサイト「薄暮時間帯における死亡事故に係る分析」をもとに作成

また、薄暮時間帯に関するドライバー・歩行者の意識調査によると、ドライバーから歩行者を視認できることが事故防止に大変重要にもかかわらず、実際に対策をしている歩行者の割合は少ないという実態があります。

薄暮時間帯に関するドライバー及び歩行者の意識調査

※調査方向:インターネット・期間:2022年8月11日~8月16日・対象:ドライバー/歩行者(全国の10代以上の男女)・回答者数(サンプル回収数):2,400サンプル(ドライバー1,200/歩行者1,200)

本ソフトウェア「見えチェック」について

ドライバーから自身の姿がどのように見えるのかシミュレーションし、服装の見えやすさを診断できるソフトウェアです。

1.体験フロー

2.主な特徴

(1) 複数のシーンにおけるシミュレーションが可能 ① 昼間、薄暮、夜間、3つの時間帯における自身の見え方 ② 2つの距離における自身の見え方

(2) A~Cの3段階で診断、対策アドバイスが記載された「診断表」を提供

本ソフトウェアの啓発活動について

TMF及びJA共済連は、トヨタ博物館主催クラシックカー・フェスティバル※2や一般財団法人全日本交通安全協会主催反射材フェア2022※3に出展、JA共済連が実施するドライビングシミュレーター搭載車両「きずな号」による全国展開※4をはじめ、本ソフトウェアを活用した啓発活動を開始します。

  • ※2 10月9日(日) トヨタ博物館主催「クラシックカー・フェスティバル」(愛知県長久手市「愛・地球博記念公園」開催予定)
  • ※3 10月22日(土) 一般財団法人全日本交通安全協会主催「反射材フェア2022」(東京都「池袋サンシャインシティ」開催予定)
  • ※4 10月から試験実施、令和5年4月から本格実施(予定)

交通安全の実現には、ドライバーや歩行者という「人」に対する啓発活動、安全な「車」の開発、信号設置や道路整備など「交通環境」の整備の三要素が一体となった取り組みが重要です。
岩崎電気では、交通環境の一部を担う道路照明設備や光環境評価システムの開発に加え、既存技術と新たな技術の結合で、社会・産業インフラを支える先進企業を目指し、「交通事故死傷者ゼロ社会」の実現に向けて貢献してまいります。

以下、参考資料

光環境評価システム QUAPIXとは

照度や輝度では、明るさや対象物の見やすさなどの感覚を評価することはできません。
QUAPIXは、その課題を解決するために、人間の感覚量(=クオリア)に基づく光環境評価の手法として開発されたシステムです。
独自の画像処理技術(クオリア解析)により、人の感覚量をビジュアル化。
QUAPIXは輝度測定、まぶしさ解析、色度評価ほか、高度な解析機能を備えた光環境評価システムです。

(1) 人が感じる明るさを数値化

壁の色が異なる空間に、同じ色の箱を入れて見比べると、箱の明るさが違って見えます。
周囲の明るさによって、見え方が変化したためです。
QUAPIXは対象物と周囲との明るさのコントラストを考慮して、人が感じる明るさを数値化します。

(2) 明るさの分布をビジュアル化

人が感じる明るさを13段階のスケールで評価し、「明るさ画像」としてビジュアル化。
どの部分にどれだけの明るさを感じるかを分かりやすく表現できるので、照明計画が簡単にできます。
また、その他「目立ち画像」や「視認性画像」を加え、3つのクオリア解析エンジンを搭載しています。

カメラ撮影画像

輝度分布画像

明るさ画像

目立ち画像

視認性画像

  • ※「明るさ画像」と「視認性画像」は、国立大学法人東京工業大学が開発した研究成果を一部取り入れ、岩崎電気株式会社が製品化したものです。
  • ※「目立ち画像」は株式会社ビジュアル・テクノロジー研究所と岩崎電気株式会社が共同で開発したものです。

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