世界最軽量のLEDランプの実現へ。
世界初!オール樹脂製の屋外照明用LEDランプを共同開発
2010年9月2日
岩崎電気株式会社
帝人株式会社
岩崎電気株式会社(本社:東京都中央区、社長:渡邊 文矢)と帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:大八木 成男)は、従来、主としてアルミが用いられていたLEDランプの放熱筐体に、高熱伝導性樹脂を使用する製品を共同開発しました。
これにより、口金を除き、筺体を全て樹脂製とした世界初(※1)の屋外照明用LEDランプが実現しました。
※1:E26形において、本年8月末の岩崎電気調べによる。
1.背景・経緯
- 看板や作業現場などに使用される照明には、主としてセルフバラスト水銀ランプ(※2)が用いられますが、消費電力の大きさなどに課題がありました。
- ※2:セルフバラスト水銀ランプ
通常、水銀灯を点灯させるために必要とされる安定器が不要の水銀ランプ。
- ※2:セルフバラスト水銀ランプ
- LEDランプとすることで低消費電力及び長寿命化が可能となりますが、通常、放熱材としてアルミを使用するため、十分な光束(光の量)を実現しようとするとランプ自体が重くなり、さらにLEDの発熱が電気回路に影響を及ぼすなどの問題もあることから、LED化は困難な状況でした。
- 岩崎電気は、こうした課題を解決すべく、照明メーカーとしての長年の知見を活かして新たなLEDランプの開発に取り組んできました。
- 一方、帝人は独自技術による高熱伝導性炭素材料「ラヒーマ®」を開発し、その特長を活かした高熱伝導性樹脂の用途開拓を進めていました。
- 両社は、それぞれのニーズが合致したことから、2009年末より共同開発に取り組み、岩崎電気の照明器具設計技術と、帝人グループのポリカーボネート樹脂に「ラヒーマ®」を複合した高熱伝導性樹脂とを融合することにより、「明るさ」「低消費電力」「長寿命」「軽量」の全てを併せ持つ新製品の開発を実現しました。
2.「ラヒーマ®」について
このたびの新製品開発を可能にした高熱伝導性炭素材料「ラヒーマ®」の開発経緯や特長は次のとおりです。
- 近年、高集積化・高出力化の進む各種電子デバイス(PC用IC、ハイブリッド自動車用電子制御デバイス、LEDをはじめとする光デバイスなど)においては、素子の発熱に伴う性能低下を抑制する観点から、高い放熱性能を有する高機能材料が求められています。こうした中、帝人は「ラヒーマ®」の開発を進めてきました。
- 「ラヒーマ®」は、金属を上回る熱伝導性を持つ特殊な炭素機能材料で、これら電子デバイス類の発熱を素早く放散させることができます。
- 特に「ラヒーマ®」を複合した高熱伝導性樹脂は、アルミとほぼ同等の放熱性能を有し、軽量性、デザイン自由度、成形加工性などに優れることから、LEDランプをはじめ、幅広い用途に展開することが可能です。
- 現在は、帝人の岩国事業所(山口県岩国市)にあるパイロットプラントで生産を行っており、本格的な事業化を目指しています。
3.開発製品の特長
このたび開発した製品は、次のような特長を持ち、従来のセルフバラスト水銀ランプの用途以上に多岐に活用することができる製品になっています。
- 軽量
口金を除きオール樹脂製筺体としたことにより、LEDランプでありながら、セルフバラスト水銀ランプと付属器具とを合わせた重量と同等の約300gを実現しました。
また、既存の器具にそのまま取り付けることができます。 - 意匠性
金属の硬質感とは異なる、高熱伝導性樹脂の独特の素材感を活かした設計によるニューデザインを採用しました。
既存の器具に対しても違和感なく使用できるとともに、新たな空間演出も可能とするフォルムを形成しています。 - 明るさ
従来のセルフバラスト水銀ランプの光束は1450ℓm(単位:ルーメン)ですが、これを超える1600ℓmを実現しました。 - 光色・演色性(※3)
従来のセルフバラスト水銀ランプの光色・演色性(3100K・Ra58)に対し、同等色で演色性を重視した電球色(3000K・Ra80)タイプと、効率性を重視した白色(6500K・Ra70)タイプの2種類を用意する予定です。- ※3:光色・演色性
「光色」は、使用するランプの光の色。「演色性」は、ランプによって照明された物体の色の見え方。
- ※3:光色・演色性
- 低消費電力
従来のセルフバラスト水銀ランプの消費電力が168Wであるのに対し、その約1/10程度(18W)に抑えることができます。 - 長寿命
従来のセルフバラスト水銀ランプの寿命が約6000時間であるのに対し、その約7倍相当の約40000時間という長寿命化を実現しました。
4.今後の展開
- このたび開発した製品は、岩崎電気が「LEDアイランプ」として商品化し、年内にも発売する計画です。
これに対し帝人は、ポリカーボネート樹脂に「ラヒーマ®」を複合した高熱伝導性樹脂を岩崎電気に供給します。 - 岩崎電気は、看板、仮設、工場、屋内施設などの市場に加え、「LEDアイランプ」の性能やデザイン性を活かして、建築家や照明デザイナーなどによる新たな用途に向けた展開を図り、発売当初は年間3万本の販売を見込んでいます。
また、さらなる製品バリエーションの拡充を計画しています。 - 帝人は、このたびのLEDランプへの高熱伝導性樹脂の採用を契機として、LED分野での「ラヒーマ®」の展開を強化し、その他分野への用途展開も含め、2015年には数百トン規模の「ラヒーマ®」の販売を目指しています。
また、今後の需要動向に応じ、量産設備の導入も視野に入れています。 - 岩崎電気と帝人は、「ラヒーマ®」による高熱伝導性樹脂を用いた軽量・高性能の「LEDアイランプ」のラインアップをさらに拡充すべく、共同開発のスピードアップを図っていきます。
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