PCB使用安定器の取扱いについて
別添1
PCB使用安定器の点検要領
(社)日本照明器具工業会
- PCB使用安定器とは
PCBは、ポリ塩化ビフェニール(Poly Chloro Biphenyl) の略で、絶縁性が高く電気的特性に優れていることから、電気機器の絶縁油としてトランスやコンデンサに使用されていました。PCB使用安定器とは、このPCB入りコンデンサを力率改善用として使用していた安定器のことをいいます。
※「力率改善」とは、同じ消費電力に対して安定器の入力電流を少なくして、配線を細くしたり、電源設備容量を少なくすることをいう。
- PCB使用安定器の製造、販売
このPCB使用安定器は、1957年(昭和32年)から1972年(昭和47年)8月までの間、一部の照明器具に使用されておりました。昭和47年9月に製造、販売を中止し、以降の照明器具には使用されておりません。
- PCB使用安定器を使用していた照明器具の種類
- 昭和32年1月から昭和47年8月までに製造された、施設用の蛍光灯器具、水銀灯器具及び低圧ナトリウム灯器具のうち、次の種類のものに使用されていました。
- 蛍光灯器具
- 「ラピッドスタート式」及び「フリッカレス式」で、「高力率形」のもの。
- 使用蛍光ランプは、40ワット2灯用が主ですが、他に60ワット、80ワット、110ワット、220ワットがある。
なお、特殊用途(耐食形、防爆形、調光形など)として、40ワット1灯用及び20ワットのラピッドスタート式のものがあるが、一般的な施設では使用されていない。- 「ラピッドスタート式」とは、グロースタータを用いないでトランスの作用を利用して電源を入れると即時に点灯するもので、蛍光灯器具が多数設置されるビル、工場、学校などの施設用に用いられる。「普通力率形」と「高力率形」がある。「高力率形」とは、力率改善をしてあるものをいう。
また、ラピッドスタート式の種類に、「シーケンススタート形」、「高出力形」、「超高出力形」などがある。 - 「フリッカレス形」とは、蛍光ランプの光のちらつきを少なくするために、ランプを二本組み合わせて点灯させ、それぞれの発光周期をずらせて、ちらつきを防止したもの。
- 「ラピッドスタート式」とは、グロースタータを用いないでトランスの作用を利用して電源を入れると即時に点灯するもので、蛍光灯器具が多数設置されるビル、工場、学校などの施設用に用いられる。「普通力率形」と「高力率形」がある。「高力率形」とは、力率改善をしてあるものをいう。
- 水銀灯器具
- 「一般形」で、「高力率」のもの。「定電力形」のもの、及び「フリッカレス形」のもの。
なお、この器具の主な用途は、体育館や工場など高天井に設置される照明や、道路照明などである。また、安定器は、一般には器具に内蔵されておらず、器具と分離して「別置形」として設置されている。
- 「定電力形」とは、電源電圧の変動に対して、ランプ電力をほぼ一定にし、また、入力電流も低く抑えて電源容量を少なくしたもの。
- 「一般形」とは、「定電力形」や「フリッカレス形」などのように特殊な機能を付加しない形のもの。
- 「一般形」で、「高力率」のもの。「定電力形」のもの、及び「フリッカレス形」のもの。
なお、この器具の主な用途は、体育館や工場など高天井に設置される照明や、道路照明などである。また、安定器は、一般には器具に内蔵されておらず、器具と分離して「別置形」として設置されている。
- 低圧ナトリウム灯器具
- 全機種。なお、この器具の主な用途は、トンネル灯である。
- 蛍光灯器具
- 一般家庭用の蛍光灯器具は、「グロースタータ式」の「低力率形」であり、PCBは使用していません。
- 昭和32年1月から昭和47年8月までに製造された、施設用の蛍光灯器具、水銀灯器具及び低圧ナトリウム灯器具のうち、次の種類のものに使用されていました。
- PCB使用安定器の点検と判別方法
その照明器具にPCB使用安定器が使用されているかどうかは、次の手順により点検・判別してください。
- 施設の建築年又は照明器具の保守交換時期の判別
その施設を建築・改修された時期又は照明器具を保守交換された時期を確認してください。その時期が、1957年(昭和32年)1月から1972年(昭和47年)8月までのものであればPCB使用安定器が使用されている可能性がある。
- 備考:
- PCB使用安定器は、昭和47年9月から製造、販売を中止しているが、新たに電路に使用することが禁止されたのは昭和51年10月(電気設備技術基準改正「ポリ塩化ビフェニール使用機械器具の施設禁止」)である。法的には、この間にPCB使用照明器具の移設等を行うことが可能であり、判別の対象を昭和51年10月までの建築、保守交換時期に拡大する必要があるとの解釈があるが、実例は確認されておらず、一義的には判別の対象とならない。
- 照明器具の種類の判別
次にその施設に設置されている照明器具の種類を確認してください。
別紙1の上段に代表的な各種器具の姿図を示してあります。この図を参考に蛍光灯器具、水銀灯器具、低圧ナトリウム灯器具の判別をしてください。 - 安定器の銘板記載事項による最終判別
次に器具の反射板や蓋等をはずして内蔵されている安定器の銘板を確認してください。安定器の銘板は、「別紙1」の中段の図に示す個所に貼付されています。
銘板には、別紙1の下段に示すような表示がしてあります。この表示により次の判別を行ってください。- 安定器の種類の確認
安定器の種類を確認してください。次の記載のある安定器はPCBが使用されている可能性があります。
- ■蛍光灯器具
- 「ラピッドスタート式」、「直列ラピッド式」、「シーケンス式」、「直列逐次点灯式」、「2灯直列点灯形」、「フリッカレス式」
(※注:○○○式は「○○○形」と表示されている場合があります) - ■水銀灯器具
- 「一般形」、「定電力形」、「フリッカレス形」
- ■低圧ナトリウム灯器具
- 種類によらず該当
- 力率の確認
上記1.に該当した安定器について力率の表示を確認してください。次の記載のある安定器はPCBが使用されている可能性があります。
[各器具共通]
「高力率」、「力率 0.85以上」
以上により大体の判別は終わりましたが、最後に安定器の製造時期を確認してください。 - 製造時期の確認
上記2.に該当した安定器について、銘板表示により製造年月又はロット番号を確認してください。
製造年月が昭和32年1月より昭和47年8月までに製造されたものはPCB使用安定器です。
なお、製造年月又はロット番号はメーカーにより表示方法が異なりますので不明な場合は該当メーカーにお問い合わせください。 - 製造中止後の安定器の見分け方
昭和47年9月でPCB使用安定器は製造を中止しましたが、製造中止後1~2年の間は判別のために、「NO PCB」又は「PCBは使用していません」という記載を銘板に表示しておりました。切り替え時の安定器はこの表示で判別できます。
- 安定器の種類の確認
- 施設の建築年又は照明器具の保守交換時期の判別
- 安定器の交換について
上記の点検により、PCB使用安定器と判別された場合は、速やかに交換が必要です。
安定器を取り外す作業は、電気工事業者又は電気工事士の資格を有する方にお願いします。
なお、交換にあたっては、安定器のほかソケットや電線等の附属部品も耐用の限度を超えており、継続使用は危険です。安定器のみの交換ではなく、必ず照明器具ごと交換してください。 - 使用済みPCB安定器の法令上の取扱い、保管、管理について
取り外したPCB安定器は、廃棄物処理法に基づき施設管理者において保管していただくことになります。別紙2、別紙3をご参照ください。
- 問い合わせ先
- 安定器銘板の記載方法はメーカーにより多少異なります。読み方の判らない場合には、該当するメーカーにお問い合わせください。
- 本件に関する総合的な問い合わせは下記にお願いします。
(社)日本照明器具工業会
- 電話
- (03)3833-5747
- FAX
- (03)3833-8455
- 〒110-0005
- 東京都台東区上野3-2-1 フジオビル7F